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590, 相変わらずね、闇って存在は……。どうせやるのなら、わたしとレッドステートを潰したいのか、それとも儲けたいのか。どっちかにしなさいよ、もう。

 いま、わたしは湯につかっているのよ。闇の総攻撃で疲弊した心身を癒すために……あえて闇に余裕を見せつけよう、なんて言い出して……あの使い魔に、温泉へ連れ出されたの。


 温泉、……。そんなことをしている場合ではないわ。そう伝えたのだけれど、あの量子アリスまで乗る気になっていて、もう断れなかった。ううん……。正直に言えば、わたしの心も悲鳴を上げていたのよね。だから、これくらいはいいかな、と。でも、もうそこで調子に乗ったりはしないわ。


 わたしったら。下界に舞い降りて、温泉につかるなんて……。


 闇は、特に邪神イオタは、そんなわたしを見て、どう感じるかしら? そうね。そう考えると、悪い提案ではないわ。あれだけ総攻撃を仕掛けてきたのに、その渦中にいるはずの女神は、なぜか、ゆったりと下界の温泉につかっている。……うん、そういうことね。


 ただし、これは休憩であっても、遊びではないわ。残された貴重な時間を消費する以上、何らかの進展を、強く求めるわ。


 その点は量子アリスも事情を汲んでいて、今回の事態の種明かしに匹敵する調査内容を持参しているらしいの。本当ならフィーも同行してくるはずだけれど、今は……こちらに構っている時間がないようね。


 そもそも、わたしはフィーに頼りすぎ。いま、こうして余裕でいられるのも、「アリスのお守り」があってこそなのだから。


 ……。たまには、こうした時間もいいわね。それにしても、闇側の量子アリスが、こうして動いているなんて……。闇の中でも、分裂のようなものが生じているのかしら?


「女神ネゲート様……。ここ、いいですね。」


 ……今、気づく。隣に、量子アリスがいたわ。


「そうね。」

「女神ネゲート様がここでゆったりしている件、ちょっとした騒動にもなっています。そうですよね。」

「……それも、目的の一つ、なのよね?」

「はい。闇の勢力もチェックしていますよ。それで、震えている闇の者も多いかと。おそらく、『売り売り』の儲けに夢中になりすぎて、邪神イオタ様には『女神ネゲートは焦燥しきって塔に閉じこもったまま』などと、伝えていたのでしょう。ところが、こんな『温泉騒動』が流れ出た。あとは……わかりますよね?」


 温泉騒動……。ふふ、悪くはないわ。


「相変わらずね、闇って存在は……。どうせやるのなら、わたしとレッドステートを潰したいのか、それとも儲けたいのか、どっちかにしなさいよ、もう。時々、『売り売り』を入れるために、わざと……闇の勢力はWeb3を歓迎しますとか、平然とそんな戯言を並べて、買いを誘うような真似までしているわよね?」

「はい。それも確認できています。それも……闇ですから。」


 それも闇。その一言で、全部片付いてしまうなんて。ええ。吸い尽くすまで、繰り返すわよ。もう。


「それで……最近、静かよね?」

「静か……とは?」

「仮想通貨を刻印ガチャにした……AggWit周辺よ。静かなくせに……駒は、進めているのよね。本当に、もう……。」

「その件ですね。AggWitを放免にすれば止まる、と言っていましたが……それでも民が許さない。結局、止まりませんよね。」

「もう。闇の勢力とAggWitに『挟まれる』なんて。」

「……そうですね。最大抽出可能価値が、こんな形で戻ってきた。やはり……因果、というものは存在しますね。似た構造で、返ってくる。これは、とても大事な概念です。」

「……そ、それね。この際だから、ちゃんと直すわよ。」


 トランザクションが確定する前に、その順番を入れ替えることで、最大の価値を抽出する……あれよ。「最大の価値」なんて言われると良さそうに聞こえるけれど、その実態は……大きな取引の価値を最大効率で引き抜けるように、トランザクションの順番を恣意的に並べ替えている……それだけなのよね。


 そんなものが、こんな形で跳ね返ってくる。因果を、なめてはいけないのよ。


 それでは……そろそろ、真剣に向き合いましょうか。そう……暗号論的ハッシュ関数に。

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