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560, どうやら一部で、PQC実装やSHA-256への量子対策……ハッシュ交換を「前もって準備していた」と錯覚させる改ざんが確認できているのです。

 それから、フィーの論文の続きの前に……、衝撃的なことを聞かされたの。それは……。


「ネゲート。これだけは……言っておくのです。」

「……わかったわ。何かしら?」


 そのフィーの表情を見た瞬間に、それは、ただ事ではないと悟ったわ。そして……、SegWitの顔も真剣そのものよ。どうやら、ようやく量子で目を覚ましてくれたようね。そこは……少し、救いだった。ほんの少し前まで、量子など「魔女の道具」だとか、「PQCなんて不要だ」とか、本気で言っていた時期もあったのだから……。


「はい。どうやら一部で、PQC実装やSHA-256への量子対策……ハッシュ交換を『前もって準備していた』と錯覚させる改ざんが確認できているのです。」

「ちょっと、それって……。」

「はい。セキュリティに直結する内容で……それは、ありえないことなのです。」


 ……。


「おいおい、なんだそれは?」

「はい。これでは『前もって準備していたけど……。』と見せかける状況になっているのです。本来なら、量子リスクを正直に説明し、どうすべきかをあなたに相談すべきでした。それをせず『量子など幻』と聞かされて、ここまで来てしまった……そんな流れなのです。」


 ……。


「ネゲート。この状況、わかっているのですよね? もう、女神すら切り捨てて先に逃げようとする者たちまで、出てきてもおかしくないのです。……これが、その証なのです。」


 フィーの言葉が胸に刺さった。やっぱり、わたしのために言ってくれているのね。でも……確かに、いまの流れを見ればそう感じても仕方がない。もしかして……最初から、こうなるように仕組まれていたのかしら……。


 ううん、違う。それでも、わたしは間に合わせたいの。どうにかして。……「闇による修正」を、まだ終わらせるわけにはいかないのだから。

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