549, そして、大事なこと。このままAggWitが踏みとどまるのなら……。でも、このまま制御不能の暴君と化すのなら……もはや止める方法はただ一つ。それは、刻印を破ること、なのです。
このイントロダクション……。フィーの本気を感じ取ったわ。量子アリスによる発見を、絶対に無駄にはしない。そういう意思の塊よ。
「お、おう。」
「なによ? 『楽勝』って言っていたわよね?」
「まあ、女神よ。落ち着け。ここに……なんだ、その……AggWitに対する何かがあるのか?」
「……もう。これはイントロダクションよ。まだ、扉を開ける前の『張り紙』みたいなものなの。」
「な、なんだと?」
SegWitには、わたしから少しずつ噛み砕いて伝えるしかないわ。この状況で混乱されては、余計に厄介だもの。……そうね、この状況、なにか似てる。そう、わたしが大精霊で穏やかな時間を過ごしていたあの頃、もしかしたら、あれこそが本当の平和だったのかもしれない。あのときは、わたしの方からだった。……でも、あいつは……。
「あ、あの……?」
「ついに本気を出してきたフィー、そうね?」
「はい。こんな状況で何もできないのであれば、存在意義がないのです。そして、ここまで整然とまとめてきた以上、すでに主要な解析は完了しているのです。」
「それで、気になるのよ。この『耐量子』っていうのは? ショア系のPQCじゃなくて、グローバー対策よね? ハッシュに直接作用するものだから。」
「はい。そこが最も重要なのです。やはりこの刻印……Satoshiは『二人』いることを示唆しているのです。片方は黒幕で、Satoshiの名を騙った者。そしてもう一方……この刻印に耐量子を刻み残した者こそが、本物のSatoshiなのです。」
「……それって……。」
「はい……。それが、この刻印の真の意味につながります。続きは……。」
「……ええ、わかっているわ。」
「おい、なんだ。まさか、まだこんなのに、続きがあるのか?」
「あ、あのね……、これは……フィーの『本気』なのよ? これから数字が山ほど出てくるわ。」
「……お、おう……。」
「はい。たとえば雪崩効果。平均距離、分散、カイ二乗、ビットフリップ率……すべて検証済みなのです。」
「……。」
「あら、どうしたの? 『楽勝』じゃなかったの?」
……もう、包み込むのも難しくなりそう。でも、やるしかないわ。
「そして、大事なこと。このままAggWitが踏みとどまるのなら……。でも、このまま制御不能の暴君と化すのなら……もはや止める方法はただ一つ。それは、刻印を破ること、なのです。」
「……。」
……覚悟はしていた。けれど、預言としての役割を課されていたことがこの十月で明らかになった今、それを打ち砕くには……刻印という小さな巻物がAggWitの腹に達する前に、破るしかないのよね。
「……フィー。」
「はい。でも、そのような事態に備えて、『耐量子』は刻み残されていた。わたしは、そう考えているのです。」
「それって……それって……。」
「偶然ではないのです。……ここは、うまく切り抜けましょう。」
……やっぱり、わたしはまだまだね。フィーは……。