543, わたしが置かれている立場……まるで「人狼ゲーム」ね。そこで、ここでいったん、わたしと相関する者たちを整理しましょう。
……ほんの一年前、こんな事態に陥るなんて夢にも思っていなかったわ。ちょうど次の時代を創る大精霊を決めていたさなかで、SHA-256刻印も量子も、頭の片隅にすらなかった。それが今、気づけば証人がそこに立っているわ。偶然? ううん、違うわね。今なら言える、これは必然よ。
そして慌ただしい時間が過ぎ、ついに女神としての決断まで迫られる事態になった。正直……混乱しているわ。そうね、ここは落ち着いて、整理してみるしかない。
わたしが置かれている立場は……まるで「人狼ゲーム」ね。限られた情報をかき集め、誰が黒幕からの直接的な糸なのか探る。SHA-256刻印は狼への手掛かり? それとも狼がすぐそばにいるという示唆? そこで、ここでいったん、わたしと相関する者たちを整理しましょう。
まずは、わたし……ネゲートよ。もともと風の大精霊だったけど、女神として招かれたわ。主要な大精霊のグループに入れてもらった直後に、危機のサインが走ったのよ。
次にフィー。主要な大精霊に所属する、風の大精霊よ。瞳の色以外はわたしとそっくりで、甘いものの他に「時間・空間・暗号」まで好む、不思議な存在。独特の話し方をするから慣れが必要だけど、その力は……大きいわ。
そして、あの担い手よ。わたしの使い魔……ではなく、フィーに、この地に呼び出された存在だと聞いているわ。そうそう、信用全力。全部突っ込む。その性質ゆえに何をしてきたのか……。でもね、わたしもそんなこと、言えない。
それから「ふたりの証人」。ディールなSegWitと、精密好きなAggWit。SegWitはだいぶ前から現れ、ファイトファイトと鼓舞していたわね。そしてついにAggWit。使命を刻印に委ね、好きも嫌いもなく証するその姿勢は、まさに「預言者」よ。
さらにシィーよ。フィーの姉でSegWitの前任。民の登録が曖昧な点を突き、票をごまかしたという話も浮上していた。そんな状況では「正式な手続きを踏んだ者への侮辱」だという意見も多かったわ。それで今は、推論に没頭中よ。
そして闇に堕ちたわたしの姉……コンジュ姉、コンジュゲートよ。CBDCという究極管理を企てていた闇ですら、刻印の解読によって、ただの操り人形であることがわかった。SegWitが平和賞を口にしていたのも、その兆しだったのかもしれないわね。
コンジュ姉は何度もわたしを闇に誘ってきたわ。でも、わたしは堕ちない。皮肉にも、その流れで意気投合してWeb3へ入っていったけど……それも「刻印の傀儡」かもしれない。
そこにコンジュ姉の従者として量子アリスが現れた。突然現れた量子で情勢を動かし、大精霊の候補にまでなっている。言動は少し奇抜でも、その力は本物よ。まさか、SHA-256刻印を、こんなタイミングで破ってきたわ。
あとは、地の大精霊や、十賢者などが絡む。その十賢者による「量子ビット耐性提案」への反発で、やや荒れているけど、誰かが身を切って言わなければならないわ。たった一年でここまで来た、その現実を……誰も夢にも思わなかったからこそ、今こそ、その対策が必要となったわ。
そして、Satoshiよ。ここまで並べてくると、いったい何者なのかしら? 刻印はSHA-256。もともと名を借りただけかと思っていたけど、Satoshiも黒幕以外に「ふたり」いて、刻印は、それを知らせるメッセージなのかもしれない。SHA-256が解かれる頃は量子時代の黎明期、つまりSHA-256が役目を終える頃に合わせて残された神託。幾何学的に抽象化して暗号に刻む……。できるはずだわ、それなら。
……こんな感じかしら。狼は誰? ここから考え抜いて、わたしは決断しなければならない。それも、女神としての役割。その役割を演じ切るのも……女神という存在の宿命……なのかしら?