542, 刻印の証人は、好き嫌いでは選べない。証をすれば、多くの反対が襲い掛かってくるさ。ところが、言わなければ暴れ始める大精霊が抑えられず、全体が滅んでしまう。
オリーブの花言葉に傀儡のニュアンスが加わるのなら、わたしは……。
「どうした、女神よ。そろそろ、良い返事が聞きたい頃だぞ。まだわからないのか。女神として、この場に集まった大精霊と、その民の大多数を導く責任はどこに消えたのだ？ これはビジネスでもありがちだが、このような場合、全部は取れないぞ？ わかっているよな？ さあ、どうするんだ、女神よ？ これから女神に、その判断を委ねられる俺様の拒否権の取り扱い次第で、すべてが決まるぞ。わかっているよな？ 女神なのか、それとも魔女なのか。ここで、決めるべきだ。」
「そ、それは……。」
……。よく議論される仮想的な検証で取り上げられる哲学的な議題。それが……ここで現実となって目の前に立ちはだかっているってことよね。
「どうした？」
「これもディールってことかしら？」
「女神よ、それは違う。これは……すでに決まっていることなんだ。天命というやつだな。」
「……、そうなんだ。」
「そうだ。つまりディールでもない。もう、女神として受理するしかない。それができないから、俺様は、魔女と呼び始めたんだ。だってそうだろ？ 女神としての責務を果たせていないのだから。」
「……。」
「そんなに悩むな。確かに反対を並べている大精霊ばかりに触れていると、実は違うのではないかと考えたくもなる気持ちもあるだろう。ところがな、刻印の証人は、好き嫌いでは選べない。証をすれば、多くの反対が襲い掛かってくるさ。ところが、言わなければ暴れ始める大精霊が抑えられず、全体が滅んでしまう。」
……、それって……。
「いま、なんて……。つまりあなたは、証人としての……、自覚があるってことよね？」
「当然だろ、女神よ。よくみてみろ。これこそが、終末の時代の運命だぞ。内面に抱え続ける負の感情を抑えきれない地の大精霊が暴れ始めて数年がたつ。やはり終末だ。だから、女神にとして現れたんだろ？ 平穏な時代なら女神は静かに見守っているだけと、聞いたぞ？ そうだそうだ、今が平穏な時代な訳ないだろ、女神が、ここに、いるのだから。」
「そ、それは……。そうよ。わたしは……女神よ。」
「そうこなくては、女神よ。俺様は証人として、これを使命として受け取ったぞ。それは……あの瞬間だった。途中、闇の邪魔が入ったが、何とか立て直すぞ。もう、これ以上は問わない。それでは、期待しているぞ。」
……。これが現実って感じよね。ふわふわと浮いた感じ。わたしの女神としての判断次第では、全体が滅びかねない。そうね、それは否定できないし、高めの確率振幅として顕在しているわ。……、結局、わたしも傀儡だったってことね。
そして、SegWitに証人としての自覚があるのなら……、AggWitも、あれらは……。嫌われても嫌われても、精密に対応してくるってことね。
これだけのことが、たった数百行で書かれた暗号の中に刻印として封じ込められていた。まさしく……SHA-256は小さな巻物、それよ。ただし、とっても苦い巻物よ。……。
