537, 女神よ、魔女のままでいいのか? この数年で生活が苦しいと叫ぶ民の声が多いぞ? それも当然だ。闇の無策「買いの容認」によって、数年も民を苦しめる腐り果てた闇に、女神は魂を売るのか?
ほう……この場に女神もいるのか。私は、もうその姿を現すことはできないと考えていた。ならば話は早い。ここで、魔女から女神に戻る好機となり得るだろう。
はは、そうだな。この場の総長だけは、私や女神などの立場では絶対になれない。力ではどうにもならない。ちょうど心を入れ替えるには最適な場とも言える。
さて……本題だ。
私は、これまで完璧に導いてきたと自負している。闇の勢力が残していったおぞましいもの……それは想像以上に膨らんでいた。逆に、これで破裂しなかったとは驚きを超えた邪悪さを感じたぞ。
本当に、闇の勢力はどうしようもない。いったい何なんだ、あれらは。そういえば、引きずり降ろされたあの者は最近姿を見せないようだが……そしてこの場にも現れない。その罪の重さに、自重でもしたのか? はは、そんな奴らではないな。多少は心身に支障をきたしたのか。もはやそこに同情などいらん。
そこで女神よ、魔女のままでいいのか? この数年で生活が苦しいと叫ぶ民の声が多いぞ? それも当然だ。闇の無策「買いの容認」によって、数年も民を苦しめる腐り果てた闇に、女神は魂を売るのか?
私は今でも信じられない。なぜ、あんな真似をした? 私を失脚させて、やったことが数年にもおよぶ「買いの容認」だぞ? どうせ大した考えなど微塵もない。事前に情報を掴み、先回りで動くだけだ。闇などそれしか興味がないのだ。
そのためなら何でもありだ。そう、何でもな。安価な労働力もその一つだろう。それしか興味がない。出来る限り安く使い倒し、あとは勝手に野垂れ死んでくれれば御の字。つまり、民のことなど、どうでもいいのだ。これが意味すること、わかるか?
そして、あんなおぞましい限りの「買いの容認」を、覇権を握る我らの通貨がやったらどうなる? そんな想像力の欠片すら、あの闇にはないのか? その影響は、我らの通貨だけでは済まないのは明白だろう。すでに我らの通貨と同盟に近い通貨から崩壊が始まっているぞ?
なぜか四半期ごとに物価が上がる? 当たり前だろう。「買いの容認」によって崩壊が始まったのだから。そこに安価な労働力まで加わり、あのままでは本当に大変な事態に陥っていたぞ?
闇は少しは考えたのか? ああ、そんな考えあるわけがないか。闇にとってそんなものどうでもいい。民が破滅しようと、どうでもいいんだ。はは、笑ってしまうよな。民の破滅を望む者が、たった数年とはいえ「時代を創る大精霊」をやっていたんだぞ?
まあ、それこそが闇であり、闇であり続けることだ。
腐り果てた連中を、許すな!
口先だけの約束に、もう騙されるな!
安価な労働力だと? 使い捨てにするその手は、もはや通用しない!
それが「改革」だと言うのか? 笑わせるな! 我らの時代で償わせてやる!
そこで私は動いたぞ。そんな闇の影響を受けた屑どもを一掃してやった。まったく、最後まで粘っていた奴もいたが、それは無駄な抵抗に終わったぞ。それでようやく……利率は下がり始め、「買いの容認」は終わりを告げた。
これで、今は苦しいかもしれないが、間もなく元の生活が戻ってくるぞ。それでも私は許されないのか? あの「買いの容認」を解除できるのは、私しかいない。そのうち、私を感謝するようになるだろう。それを期待して動いているぞ。
さて最後に、再度問うぞ。女神よ、魔女のままでいいのか? 力なき平和など絶対に実現しない。平和実現へのビジョンを描け! それが、これなんだ。これしかない。はやく本来の姿……女神に戻るべきだ。まだ、私は期待しているぞ。