536, えっ……? 魔女様の踊りには「深く感心した」って……? HODLは「呪文」なのかって……? そ、そっち……? ど、どうしましょう……。
そんな訳で……お呼び出しを食らった、大精霊の集まりでもある特別な場へ向かったわ。そこにはコンジュ姉と量子アリス、そして……あの使い魔も同伴よ。もちろん、大精霊の集まりだから、自然とフィーも現れるはず。
それにしても量子アリスったら、普段はあんな調子なのに、この場では緊張で固まっていたのよ。そろそろ大精霊の候補でもあるから「場慣れさせるべき」とコンジュ姉が言って、連れて来られた感じかしら。
「これはこれは、女神ネゲート様、女神コンジュゲート様。我々は、この時代の方針にすべてを賭けております。」
「その様子だと……計画は順調、ということよね?」
「さようでございます。水の力を採掘に変える唯一の仕組みですから。水の力をそのまま売却するだけでは、輸送網の狭さゆえ安く買い叩かれてしまいます。その点、女神ネゲート様のこれは……直接、そのまま貯められるので、大いに助かっております。」
……話しかけられるたびに、やはりそういう話ばかり。まあ順調なのね。……もちろん、大精霊といえどもSHA-256刻印の件なんて、ほとんど知らないのだろうけど。
それにしても、案外……「魔女」の件は広まってはいないようで、少し安心していたのよ。そう思った矢先のことだったわ。
「これは女神ネゲート様。一部の地域の者たちが、あなたを『魔女』と呼び始めているようですね。」
「そ、そうね……。」
ついに、その時が来てしまったのね。でも……いいわ。覚悟はできているの。
「たしかに……。突然現れた天へ届きそうな塔に、魔女様の踊り。そこに飛び交う呪文……HODL。これは、何かの前触れではないかと解釈する声もあります。」
「……そ、それは……。」
「魔女様の踊りには、深く感心しております。」
「……。」
えっ……? 魔女様の踊りには「深く感心した」って……? HODLは「呪文」なのかって……? そ、そっち……? ど、どうしましょう……。
そこに、その瞬間、だったわ。
「確かに、あの踊りには妙に引き込まれる魅力がありました。あのHODLは、息抜きのようなものです。このようなお立場ですから、それくらいはないと身も心も持ちません。そして……民を引き込む魅力がなければ、女神は務まらないでしょう。」
「なるほど……。女神様を陰で支えるあなた様がおっしゃるなら、そういうことにいたしましょう。」
……わたしが困っていたら、この使い魔、案外やるじゃない。もう……。
量子アリスも緊張が解けたようで、いつもの雰囲気に戻ってきたわね。そして……演説。いよいよ、あのディールなSegWitよ。誰ひとり席を立つことなく、真剣な眼差しで、その言葉を待っているわ。