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527, そうそう。君が置いていったスマートコントラクト。おそらく巡礼気分なんだろうね。用もないのにReadを叩きに来る者が大勢いて、なかなかの負荷になっているのだよ。

 こんな形だけど、始まったわ。まあいいじゃない。どのみち、理想的な形で始まることなんてないのだから。


 そして、わたしは決意した。苦しい決断。そう……この塔に「地のチェーン」を招いたのよ。ちょうどコンジュ姉と量子アリスが量子のイベントで塔を離れた隙を狙って。これは念のため……そういうこと。


「相変わらず君らしい。この塔……こんなに高くする必要があったのかい?」

「べ、別に……そこは指摘しなくてもいいでしょ?」

「それにしても、ここがクリプトの塔か。ところで、僕よりも十賢者を先に招いたのは気になるね?」

「えっ? そ、そうね……それには深い事情があるのよ。」

「そうそう。君が置いていったスマートコントラクト。おそらく巡礼気分なんだろうね。用もないのにReadを叩きに来る者が大勢いて、なかなかの負荷になっているのだよ。」

「なによそれ……。でも、それも含めてWeb3の風景でしょう?」


 ……痛いところを突いてくるわ。順番的には逆。うん、わかっているのよ。


「まあいいさ。あの闇がWeb3とはね。ははは、さすが君だ。闇はCBDCに邁進していて止められないと思っていた。なのに急にWeb3? なるほど……正攻法じゃない。闇を動かすには、それくらいの駆け引きが必要だ。」

「そうよ、そこはうまく立ち回ったの。闇に説得なんて通じないのだから。」


 そして、大事なこと。SHA-256刻印の件を伝えたわ。


「……。」

「どうかしら? 驚いたでしょ。地のチェーンは刻印を避けている上に、最終調整で仕込むような連中の策略も完全に回避していたの。ほんとにそれで良かった。そうでなければ、わたし……。」

「……やっぱりね。そもそもあの連中は過去にも『暗号にとってあってはならないこと』に手を染めていた。普通なら一発退場なことを、平気でやって玉座に居座っている。それが実態さ。」


 えっ……一発退場? そんなことまでしていたの? まあ、毒まんじゅうを仕込んで悦に入る連中よ。ああ、やっぱり……そうだったのね。


「ほんとに、ひどい話。つまり……、自分たちだけにわかる細工を仕込んでいたってことよね?」

「そう、それに近い。どうしようもないね。そして、君を魔女と呼ぶなんて……信じられない。結局あの地域一帯は、誰がやっても同じなんだろう。」

「……わかってはいたけど、実際に『魔女』と呼ばれると……少しこたえるわ。」

「そうか。つまり、それこそが狙いだろう。でもね、闇がWeb3に転じるとは、実に興味深い。連中の策略では、闇が狙ったCBDCとは別のものが始動する。その証拠に、すでに半壊が始まっている。大精霊の通貨など、もはや誰も興味を持たない。」

「……やっぱり、そうなるのね。」


 もう、大精霊の通貨になど誰も目を向けない。仮想通貨で負債を隠して返している……そんな指摘も出ていたばかり。でも、そんなのは焼け石に水。


 計量が壊れた……なら、いっそ豪快に壊すしかない。ええ……、その顔には、そう書いてあるわ。思い切り例の利率を下げて、幕が開くのね……。

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