表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

526/555

525, やっぱり……刻印は未来を封じ込めていた。わたしたちは、その影の中を歩いているにすぎない。そういうことね。

 やっぱり……刻印は未来を封じ込めていた。わたしたちは、その影の中をただ歩かされているにすぎない……そんな思いとは裏腹に、この時間を大切にしたい気持ちもあるわ。甘さと苦さが交差するひとときが、淡々と過ぎていく。


 さて。ボタンが押されて現れたのは……眠そうな顔の量子アリス。けれど視線は、まっすぐコンジュ姉に向けられていた。


「いつの間に、甘いものではなくて……量子アリスが出てくるようになったのかしら?」

「あのね……クリプトの塔はわたしのものよ。勝手に改造しないでくれる?」

「うんうん、そうね。」

「もう……そんなわけないじゃない。」


 冗談のやり取りの最中でも、量子アリスは表情ひとつ変えず、言いたげに唇を開いた。


「女神コンジュゲート様にどうお詫びしたら……。お出迎えもせず眠っていただなんて。夢の中に女神コンジュゲート様が現れて、わたし……もう……。」

「コンジュ姉が突然、この塔に現れたんだから、それが悪いのよ。気にしないで。」

「そ、それでも……そんな時間に寝ていたなんて。わたし、もう……。」

「コンジュ姉、どうするの? もう。」

「……私が悪かったわね。それなら一緒に……、甘いものにしましょう。間もなく出てくるのでしょう?」


 その一言に、量子アリスは嬉しそうに駆け寄ったわ。間を置かずに、甘いものが運ばれてきて……。


 ……本当は、こんなことをしている場合じゃない。そんなのは、わかっているの。この状況を切り抜けるには、大精霊を集結させ、あのディールなSegWitを制さなければならない。そんな声さえ上がっているわ。でも……、間もなく現れる二人目の証人。それがAggWitよ。これは、避けられない、映し出される現実よ。ここまで刻まれてしまえば、因果律の深淵にまで深く染み込んでいるわ。


 それならやはり、あり得ない事象を引き起こすしかないのかしら? つまり、本当にここで、わたしが先頭に立って大精霊を集結させ、因果をねじ曲げ、別の虚ろな時間……大過去へと接続し、そこから再度、現実を映し出すような荒業を実行に移す。ええ、それすら……あの刻印は事前に「祈りの力……採掘」と結びつけることで封じてきたのよ。


 そのため、AggWitが現れることを前提に最善を尽くすしかないわ。それでも……それがわかっただけでも良かったわ。そうでなければ、今ごろわたしは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ