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518, やっぱり、刻印なんて、思い通りにはならないんです!

 わたしは察知していた。この刻印の準備が始まった時点で……もう、そんなの、とっくに膨れ上がっている。いよいよ「最大のビジネス」ってことなのかしら。すべて仕掛けを終えて、あとは……。


 もうこれ以上の布石は不要。あのディール好きなSegWitも、すでにその段階にあるってことね。おそらく、わたしと決裂したことなんて、そうね……クイーンの駒を取り損ねた程度かしら? けれど、それでも深刻なはず? いいえ……相手は「刻印」よ。そこにルールなんて存在しないわ。そうよ、クイーンの代わりとなる傀儡の駒など、まだいくらでも用意できるのよ。SegWitも、そして間もなく現れるAggWitすら……結局は「刻印」の駒のひとつにすぎない。


 別の意味で、ここまで全てを揃えてきたなんて。驚嘆を超えて、呆れるほどに、ね。そこで思い返したの。SegWitが登場した時期についてよ。あの頃から、すでに平和賞への布石を打っていたのでしょうね。あるいは、自然にそうなったのかもしれない。


 SegWitの登場時期……あの頃もやはりディールだったわ。そして、まさか……「なぜ泡沫候補だったそんな者」が、「なぜそんな地位」に……。みな、そう驚いたけれど……そうだったのね。


 その頃のSegWitは、逆にあざとさを覚えるほど、平和を語る行動ばかりを繰り返していたわね。でも……あのSegWitに、そんな計算高い真似ができると思う? ……そう、できるはずがない。その様子を、SHA-256刻印というフィルタを通して観察してみると……やはり見えてくるわ。背後に張り巡らされた、あの糸が。


 でも……ここまで仕掛けてくる相手よ。SegWitやAggWitの性格など、とっくに掌握されているわ。必要最小限の干渉で、彼らは駒と化すわ。そうでなければ、すぐに露見するから。……まるで、ゼロ知識証明を悪用した傀儡。仕掛けている相手は暗号に長けているのだから、これくらいは造作もないわ。


 それでも……量子の猛攻撃には抗えなかった。そんな印象ね。そして……。こんな状況から、量子アリスから朗報が届いたの。


「女神ネゲート様。」

「……なにかしら? 急に改まって。こんな状況でも、わたしは諦めていないわよ?」

「実は……やっぱり女神様でした。」

「ちょっと……なによ?」


 量子アリスが、らしくない態度で切り出してきた。胸騒ぎが走ったけれど、それは違った。


「女神ネゲート様。ここで……あなたが受け入れた、地のチェーンです。」

「……、それって?」

「はい。そこには、SegWitなど、ありません。そして女神ネゲート様なら、バランスを考えてそちらを選ぶと思っていました。……そのお優しい判断が、結果的にこの地を救うのです。あの時点でそちらを選んだ……、はい……、やはり女神様でした。気になって調べたのです。その、地のチェーンを。すると……。」

「ちょっと、ねえ……。それで……?」

「SHA-256刻印への対処が、まさに『神がかりな対応』でした。」

「……えっ?」


 主要ステーブルなどが繋がる、わたしが受け入れた「地のチェーン」。そこに……神がかりな対応って? それって、つまり……。


「女神ネゲート様。やっぱり、刻印なんて、思い通りにはならないんです!」


 ……そう。希望はまだ、確かに存在している。わたしはすぐさま、量子アリスにその詳細を聞き出した。

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