514, それから程なくSegWitは、SHA-256の刻印が示す通り、今年の十月への布石……「一掃」への最後の警告を出してきたわ。……これが現実。あまりに忠実、あまりに見事な傀儡だわ。
さて、あれから……。捨てゼリフだけを残して、あのディールなSegWitはこの塔を去ったわ。
「毅然とした女神ネゲート様の態度。すばらしかったです!」
「あら? その割には、平然と甘いものをつまんでいたわよね?」
「えっ? みてましたか?」
……まあいいわ。この「甘いものボタン」もあるし。
「それにしても、なんだあれは。結局、ネゲートどころか、みんなを騙して、全部……我が物にって感じだよな?」
「そうよ。あのままなら、気づいたとき手元に残るのは……平和賞とCBDCだけ。それ以外は、消滅、なのよ。」
「……。まじかよ。」
「ええ。そして、あの協力者すら本当に切り捨てたようね。恐ろしいわ……。それこそアウトローな集団でさえ、ボスに忠義を尽くした者は傍に置くものよ。それを切るということは……それだけ平和賞に自信を覗かせているってことね。」
もう、どうなっているのよ!
「女神ネゲート様。それにしても、あの捨てゼリフ……意味深ですよね。」
「そうね。なにが『仮想通貨だと思っていたら刻印ガチャでした』、よ? SHA-256刻印という毒まんじゅうを、わたしを含めたみんなに食べさせておいて……。そうやって『ガチャ』と呼び、ミームで弄んでいたのでしょう。どうせ近いうちにCBDCに移行するのだから、最後くらいは……というつもりかしら。まったく、本当に嫌な感じね。」
「それそれ。そんな発言が飛び出すなんて……、俺だってびっくりだ。それにしても、そのCBDCってやつ、本当にやばいみたいだね。」
「そうよ。もちろん、それを扱う者にもよるけれど……、今ここを、ふてくされながら去った者に、この力を委ねたら……もうどうなるか。しかも任期を大幅に超えて玉座に居座るでしょう。そのための平和賞よ。そうして王政にでも移行するのかしら。どうせ平和賞の神通力で、ブルーステートは壊滅、もしくは消滅するでしょうから。」
もう……とんでもないことになってきたわ。
そして……、それからすぐよ。ええ、SegWitも時間がないの。十月は、もう来月に迫っていたわ。刻印は預言。ゆえに時間は厳守。その通りに動かざるを得ない。まさに……CBDCの傀儡。
それから程なくSegWitは、SHA-256の刻印が示す通り、今年の十月への布石……「一掃」への最後の警告を出してきたわ。……これが現実。あまりに忠実、あまりに見事な傀儡だわ。