509, 俺様が玉座を手放すとでも? 天地がひっくり返ってもあり得ない。預言は必ず成就する……そういう「決まり」だ。どうやら……おまえは期待はずれだったようだな。
さあ、いよいよね。あいつはじっと……こちらを見つめているだけ。量子アリスも、さすがに甘いものには手を伸ばさなかった。食べ飽きたのか、それとも……?
「そうか。俺様がSegWitでは受け入れられない……そういうことか?」
「そうよ。わたしは……頭を切り替えて、Web3でみんなと頑張ることにしたわ。これでご満足かしら?」
「……女神よ。なぜそこまで邪魔をする? 俺様は妥協案を出したはずだ。リゾート地では不満だったのか? それを拒絶したから、あんなことになったのだ!」
「あのね、これはそういう問題じゃないの。ご理解いただけるかしら?」
……あら、見事に図星のようね。黙り込んでしまったわ。そこで量子アリスが……語り始めたの。
「わたしは量子アリスです。わたしが動き始めたのは……やはり刻印が絡んでいるからでしょう。あの地はいまの形でバランスを保っているのです。それを……。」
「なんだと……! この闇の者が!」
へえ……量子アリス相手には強気に出てきたのね。なぜかって? 立場が「下」だからよ。結局、立場が上である、わたしやあいつに対しては何も言えないのにね。そういえば……、よくある失言も、結局は相手が格下だから言えたんだろうと、嫌味を言う声が大きくなっていたわ。
ほんと、こうなってくると……どっちが邪神なのよ? そうも言いたくもなるわ!
「なんですか?」
「闇は引っ込んでいろと言いたいのだ。闇は、どいつもこいつもロクなのがいない。こんな闇を、二度と玉座に触れさせてはならん。女神よ、おまえはそれすらわからんのか? どうなんだ? ならば俺様が王となり、政を導いた方が良いだろう!」
「それで? いま、自分の顔を鏡でご覧なさい。その言葉と態度……まさに邪神そのものよ?」
……どうかしら?
「……女神よ。まあ、そうだな。ここからはディールだ。女神は俺様に、何を求めている?」
……そう来るのね。
「そんなの、民の声に耳を傾けること。それだけよ。」
「……はは、それならもう達成しているぞ!」
「えっ? あれのどこが……? あなたが耳を傾けているのは『福音』ばかりじゃないの? でも、それ以外の声だって、同じ民よ。護るべき相手じゃないのかしら?」
……どうかしら?
「……女神よ、これだけは伝えておく。」
「なにかしら?」
「俺様が玉座を手放すとでも? 天地がひっくり返ってもあり得ない。預言は必ず成就する……そういう『決まり』だ。どうやら……おまえは期待はずれだったようだな。」
……そう。