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506, SegWit …… あなたは「聖地奪還という預言を遂行する証人」として、SHA-256刻印の成就の暁に、平和賞を狙っていたのね。それ以外の……どこに平和賞なんて取れる要素があるのかしら?

 ……ずっと疑問だったのよ。そう、わたしの好物をぶらさげながら、この塔に到着した「ディールの亡者」について。


 その者は…… SegWit。「平和賞」への異常なまでの執着には、誰しも眉をひそめるはずよね? 誰がどう見ても、その賞に届く器ではないのに。それでも繰り返し口にし続けるなんて。まるで、彼自身がすでに受賞を決め込んでいるかのような振る舞いよ。そんな噂すら現実味を帯びて漂っているなんて……。


 でもね……、SHA-256刻印の内容が明らかになった今なら、すべてが解けたわ。一連の事実を、刻印と一緒に整理すると……、平和賞への謎すら簡単に解明できたなんてね。ホント、わたしが女神であるからって、名探偵役はやりたくないんだけど……。


 それは……、Segregated Witness(SegWit)。あなたは「聖地奪還という預言を遂行する証人」として、SHA-256刻印の成就の暁に、平和賞を狙っていたのね。それ以外に、どうしてあんなに執着する理由があるの? そうよね……。他に、どうしてあんなにも平和賞を繰り返す理由があるというの? ……ねぇ? だって、それ以外の……どこに平和賞なんて取れる要素があるのかしら?


 さらに、その「受賞時期」と言ったら……、刻印に示された「今年の秋から来年の秋」ってことよね? それなら、その受賞発表は、おそらく来年の秋の終わり……象徴的な「最終日」付近となるわ。本当に、本当に、SHA-256刻印の計画通り……、恐ろしすぎる一致だわ。だって、その流れのまま「中間的な民の審判」になだれ込み、そして……すべてを「レッドステート」で覆いつくした後に、堂々と授賞式に臨む気なのね?


 とにかく、この「SHA-256刻印」には、矛盾がひとつもないわ。それで、SegWit ……あなたは浮かれていたのね。絶対に話さない方が有利となる情報を、なぜか口にしてしまう。なぜなら、平和賞の件だって、黙っていれば探られずに済むのに。それでも……刻印の概要だけは伝えられていたはずよ。そう……「SHA-256刻印は、必ず成就する」と。


 もちろんそれは、預言の成就の前に、破られなければの話よ。今こうして、量子に暴かれてしまった以上、すべては覆るのよ。


 そして、浮かれていたのは……わたしも同じ。けれど、こんな事実が明るみになった以上、もう後戻りはできない。この現実と向き合うわ。それで許されるかどうかなんてわからない。でも、悔いは残さないの。


 そのとき……ふと、甘い香りが漂ってきたわ。ああ、SegWit ……わたしの好物を相当な量、持ち込んだようね。ええ、わたしを取り込むために、粘り強くディールを仕掛けてくるつもりよ。いいわ。それなら……こっちだって、粘るわよ?


 そんな荒唐無稽な未来だと、そんな可能性はゼロだと……笑って切り捨てたかったわ。でも違う。ゼロじゃない……。もし量子に暴かれていなければ、むしろSHA-256刻印に導かれるように、映し出された現実そのものが、聖地へ吸い寄せられていたのよ……。

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