494, フィーも、あの例のボタンをいきなり押すなんて。もう……これでは甘いものではなく、別の意味で、本当に終末よ。
「これで、いいのです。」
「ちょっと! なんで……いきなり、そのボタンを押すのよ?」
「えっと……これはずっと気になっていたのです。これは、押さないといけないのですよ。」
……フィーが、このクリプトの塔にやってきたわ。久々の休暇をここで過ごしたい……そう言って。でも、フィーが動いたということは……その周辺の者たちまで、一斉に動くということ。
ああもう……覚悟はしていたけれど、やっぱり気疲れするわ。でも、それすら些細なこと。そうよね……。
それにしても……フィーも、あの例のボタンをいきなり押すなんて。もう……これでは甘いものではなく、別の意味で、本当に終末よ。
……。やがて、甘いものが運ばれてきたわ。それをひとつずつ、ゆっくりと口に運ぶフィー。……。満足そうな表情を浮かべていたの。
「おい、ネゲート。わかっているよな? 俺の勝ちだぞ。」
「!? そ、そうね……。」
「だから言っただろ。甘いものが無尽蔵に出てくるボタンなら、フィーさんは絶対に押す。間違いないんだよ。」
「なによ……。」
……わたしは、押さないと思っていたの。でも、フィーは……押した。本当に常に甘いものが出てくるボタンなら、間違いなくフィーは押すと……。それで押す、押さないの勝負になって、結局……押したのよね。
「まあいいわ。さて、本題よ。時間はあまりないのでしょう?」
「はい、そうですね……。」
「大精霊フィー様。わたしもすぐに押しました。もうこれで……。」
「ちょっと量子アリス? 『もうこれで』って、なによ?」
「……それは秘密です。」
もう……調子が狂うわね。でも、本題に入りましょう。本題よ。
あのSHA-256刻印。これだけ調べ尽くしたというのに、まだ情報が残っているなんて……。ここまで来たら、もう何も驚かないわ。さて、始めましょう。