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489, とにかく、そうね……。こんな暗号破綻したSHA-256刻印に、バカ正直に付き合って、預言の日にHODLのまま爆死……。それは経済的損失に加えて、一生モノの心の傷になってしまうわ。

 ……ふわぁ。おはよう。わたし、少し眠っていたみたいね。夢の中でも、まだ SHA-256の刻印がちらついていたわ……。でも、起きた今なら、もっと鮮明に語れるわ。


 ほんと、こんなの……おかしいわよね。論理で言えば、預言以前にもう破綻しているわ。でも、SHA-256刻印を「信仰する神の刻印」だと聞かされれば、福音は納得してしまう。特に「聖なる書物……聖書の預言が現実に起きている」と読めるものには敏感で、そこに政な正統性を重ねる傾向が非常に強いのよ。


 そう……SHA-256刻印は、そこを狙ったのね。策略としては優秀だわ。でも、やり方としては……。


 そして、その魔力はレッドの連中だけではないわ。論理で食べていたはずのブルーの中の者たちすら、吸い寄せられてしまう。SHA-256を採掘に絡めることで、祈りのように積み上げられた膨大なハッシュ演算……その重さが論理を壊すのだから。つまり「最も多く繰り返された演算」こそが、聖句となって祈りになるのよ。


 しかも……相手は本気。SHA-256刻印……すなわち刻印の存在だけではなく「刻印自体……すなわち預言の具体的な内容」を知っているはず。本当にフィーが予想した通り、戦争への接続になってきたわ。予備兵の数、作戦名の本格性……。なにこれ……、SHA-256刻印に刻まれた通りの預言だわ。聖地の奪還に向けて、本格的に動き出してしまったなんて。


 ああ……ただの「予言」ではなかった。わたしの神託なんてすぐに飛び越えて、その前から SHA-256に「預言」という神託が刻まれていたなんてね。


 それにしても……こんな残酷なことを、よく淡々と実行に移せるものね。そういう声も多く聞かれるわ。でも……それは本質じゃないの。あの者にとって大事なのは「神に託された預言を利用する」こと。仮想通貨、SHA-256刻印の採掘によって捧げられた祈り……、それこそが全て。あの惨事も、あの者にとっては「腹には苦い」という聖書の一節を、謀略として上手く活用したに過ぎないわ。それ以上の感情なんて、一切ないのよ。でも……ほんの一瞬だけ、そんな表情を浮かべていたわね。


 そして、周囲も結局はそんな者ばかり。最後に餌食になるのは……、HODLよ。それは明白であり、自明。これでもまだ、「仮想通貨の本体は仮想通貨のコア」だと言える? 違うわよね。本体は「SHA-256」だったのよ。


 とにかく、そうね……。こんな暗号破綻したSHA-256刻印に、バカ正直に付き合って、預言の日にHODLのまま爆死……。それは経済的損失に加えて、一生モノの心の傷になってしまうわ。

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