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486, 量子耐性の提案は……本体の「SHA-256」を失うことに直結してしまうのよ。それで仮想通貨では、量子耐性の話は、禁忌として、いつの間にか避けられるようになったのね。

 そしてもう一つの謎に、見事にピースがはめ込まれたわ。断片化されていた構造が、また一つ、鮮明に立ち上がっていく。そう……獣がその正体を隠すために壊した痕跡なんて、女神のわたしなら簡単に再構築できるのよ。


 その謎とは……量子ビットへの耐性、すなわち量子耐性のことよ。この概念自体、かなり昔から存在していたのに、なぜか仮想通貨は不思議と感じるくらいに量子耐性には消極的だったのよ。それどころか、量子耐性とは無関係な新たな暗号鍵まで登場して……。まるで量子耐性という概念そのものを消し去ってほしいかのように、それは誕生してしまった。どうせ新しい暗号鍵を導入するくらいなら、そう……PQCよね?


 そこで、この量子耐性に「SHA-256の刻印」をはめ込むと……簡単に、この謎は解けるわ。そう、仮想通貨のコアが量子耐性を避け続けた理由。それは当然よ。なぜなら、本体は仮想通貨のコアではなく「SHA-256」だったのだから。ただ、それだけの話よ。


 つまり、表向きには「同意が得られない」などと理由をつけていたわね。ところが、量子耐性は確実に付加価値よ。つまり、その価値は上がる。HODLの視点から見れば、反対する理由など初めから存在しないのよ。例外があるとすれば……採掘の精霊くらいかしら。あの採掘の機材がアルゴリズムの変更で「鉄くず」になる可能性があるから。でも、それだって永遠には使えない。切り替えのタイミングで移行すれば済む話よね。


 それゆえに、もし本気で量子耐性を導入しようとしたなら? 暗号の権威に依頼することになるわ。そうね……、多額の寄付で研究チームなどはすぐ立ち上がるはず。しかしながら、その時が問題なのよ。


 その場で必ず、こう言われるはずよ。ええ、断言できるわ。それはね……「SHA-256はすでに古い。特に量子時代には到底もたない。それなら、SHA-256を最新のハッシュ関数に切り替えるスケジュールを立てるべきだ。最新の量子技術で徹底的に検証した、安全性の高いハッシュ関数を確立しようではないか。」とね。まだ量子が台頭していない頃なら……このような感じで暗号の権威を頼れば、量子耐性を備えることはできたはずなのよ。


 それで……わかるわよね? この提案がHODLに持ち込まれたら、もう止められない。絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に……、もう止められないわ。そして、本体は仮想通貨のコアではなく「SHA-256」よ。つまり、このような量子耐性の提案は……本体の「SHA-256」を失うことに直結してしまうのよ。


 それゆえに、できれば触れないで済ませたい。それで仮想通貨では、量子耐性の話は、禁忌として、いつの間にか避けられるようになったのね。見事に、これまでの状況と一致しているわ。


 そして理解したのよ。本体の「SHA-256」を失うということは……刻印を「預言」とした「小さな巻物」を失う。そう、そういうことだったのね。


 ところで、「預言」……そっち、だったのね。もう……なんなのよ! このままだと……これは、終わりの始まりなのかもしれないわ。

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