481, このままでは、本当に……なんてことだ。玉座を狙っていたはずが、その玉座を闇の勢力に奪われてしまうぞ。
東側を代表する古の大精霊は、確かな勝利に歓喜していた。その姿に対し、愕然と肩を落とす者がここにいた。先ほどまで勝利を確信したかのような顔つきだったが、いまやそこには、焦燥の影が濃く刻まれていた。
「なんてことだ……。そりゃあ、あんなミームを深く考えもせず取り込む者に、多くは期待していなかった。しかし、ここまで酷いとは……。東側を代表する、あの大精霊の勝利を、我らの民が受け入れられるはずがない。すでに、弱腰だとの批判が飛び交っているのだ!」
「どうか落ち込まれませぬよう。こればかりは、あなた様でも制御できぬことにございます。」
「ああ……そうだな。私も、あの『秘密鍵ラグ構造』には、当初は寛容な立場を取っていた。最近はPQCを声高に唱えているようだが、どうやら私も甘かったかもしれん……。とにかく、あの大精霊に、これ以上の大勝利だけは許してはならん。……、そこは、分かっているな?」
「はい、重々承知しております。このままでは……。」
「そうだ。このままでは、本当に……なんてことだ。玉座を狙っていたはずが、その玉座を闇の勢力に奪われてしまうぞ。残された時間はわずか……。なんということだ……。これほどまでに時間の経過が早いとはな。来年の今ごろには……民の中間的な審判が迫っているではないか!」
どうやら……ここでも、暗号と同じ構図が繰り返されているらしい。まさに、「策士、策に溺れる」とはこのことだった。