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47, ネゲートの高度な演算で「一+一」を計算します。

「まだフィーの『魔法』が残っているようね。複雑だったけど、ばっちりね。」


 時間としては、数分くらいかな。ネゲートが演算を終え、完了の旨をつぶやきました。案外、時間はかかるようですね。


「ネゲート。それで、結果は、どうなのですか?」


 すぐさま、フィーさんが結果を催促してきます。


「このわたしが、間違える訳、ないからね。しっかりとみていなさい? 結果は……、『都の支配者』よ。」


 どうやら、調子に乗り始めたのかな?


 ところで本当に……、俺が「無作為」に選び出したものに「都の支配者」と書かれているのだろうか。まあ、適当に言い放ってもね、当たってしまう事は、ありますよ。でもね、枚数が多いゆえに、それはまず無理でしょう。カードゲームでさ、いよいよ追い込まれてしまい、一発逆転できる役が揃ってくれ! と哀願するようなものです。まず揃いませんから、それね。


「ネゲート。さっそくめくるよ。」

「うん、めくってみて!」


 めくってみると、そこには……。


「えっ! 『都の支配者』って、書いてあるぞ。」


 俺は思わず叫んでしまいました。当たっています。


「どうかしら? これがわたしの力なのよ。これをみて、まだわたしの事を『ドジっ子精霊』なんて呼ぶのかしら? 謝るのなら、いまのうちよ?」


 一体、どうやって? わかりかねますが、たしかにすごいです! でも、謝るのは嫌です。何とかしないとね。


「まあ、すごいとは思うよ。」

「それで……ね? このような奇跡を目の当たりにして、たった、それだけなのかしら?」


 なんか、目で催促してきます。うん……、瞳の色くらいかな、フィーさんと異なるのは、です。


「ネゲート。調子に乗らないのです。」

「あら、フィー?」

「あまりにも調子に乗るのなら、そうですね……、『一+一』の演算でもさせるのですよ?」

「えっ? なにそれ、フィーさん?」


 なにこれ、です。それは……二だよね? あまりにも唐突だったので、不安にはなります。


「フィーさん……。『二』、だよね?」

「はい、なのです。しかし、そのような演算でも、ネゲートの演算は『数分』を要するのです。」

「フィー……。いい加減にしてよね? そんなの、演算に頼らなくても、出せるわよ?」


 ネゲートが小刻みに震えながら、怒り始めました。でも……、その様子には、なぜがほっこりします。でもさ、なぜこんな単純な計算に数分も要するのだろうか? ……、俺でも気にはなりますよ。そこで思い切って、このフィーさんに聞いてしまえば良いのですが……、そんなのは怖くて怖くて、できませんから。


「でも、なのです。試しに『一+一』を『演算』してみるのも、別の新たな『領域』を見い出せる可能性を秘めているのです。どうせ何も起こらないと……、決めつけて行動しないのは、大切な何かを失うかもしれないと、わたしの『知識』に、あるのです。」

「なるほど。それなら、ネゲート。演算だ。」


 ネゲートに謝りたくないので、俺は……おかしな提案を「無意識」にしてしまいました。


「えっ? や、やるの?」

「そうだよ。」

「これね……、疲れるのよ? でも……わかったわよ。」

「おっと、その前に。ネゲートに褒美をやろうではないか。」


 俺も……、調子に乗り始めたみたいです。


「褒美? それは、わたしの好きなものかしら?」

「それはそれは、間違いなく大好きなはず。あの……『犬』だよ。」

「……。あんた、『犬』を持ってるのかしら? ……はい。ここね。」


 あれ……? 急にネゲートが素直になりました。……。


「ディグさん? 送り方は、大丈夫なのですか。それにしてもネゲートが……。まあ、いいのです。この時ために、『大切な犬』になったのです。」

「……。それで、フィーは『大切な犬』と呼んでいるの? ふーん。まあでも、この『犬』については、わたしには扱えないものと解釈していたのに、いつの間にか……そうやって『進化』していたのね。」

「……。はい、なのです。でも、『進化』ではないのですよ? 『知識』の結晶なのです。」

「そ、そうね……。」


 大切な犬……? なんだろう。この時のためって……? おっと、それよりも、送り方……。


「えっ……? もちろん、大丈夫……なはず。」


 フィーさんの「犬を送るのです」に合わせながら、悪戦苦闘しつつ、ネゲートに……「犬」をトランザクションで送りました。相変わらず成長しない俺自身に、うんざりします……。


「……。まったく、送り方すらわからず、なんで『犬』を持っているのかしら?」

「それはね……。話し始めると長くなります。」

「そう……。まあいいわ。こんなにいただけるなんてね、ありがとね。」

「えっ? ああ、はい……。」


 なんか……調子が狂います。ネゲートって……、あれなやつ、のようですね。


「では、演算を始めるわ。」


 ネゲートが俺の左手を握りしめ、……、「一+一」の「演算」が始まるようです。それにしても、結果は「二」だよね? 何が始まるのでしょうか?


 この俺ですら、興味がわきます。そして……。

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