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472, このままじゃ……無料で公開されているような、あの程度の量子性能で……仮想通貨の秘密鍵を……奪取し放題……そんなの……そんなの、あっていいわけない!!

 この改良型ショア、いったい何なのよ!? なんでショアに、グローバーの量子オラクルまで混ざってるのよ……。ちょっと待ちなさいよ、これ……もしかして、暗号のコアが複雑になればなるほど……量子の餌になるってこと……?


 そういえば、フィーがよく言っていたわ……この地は、空間と構造でできている、と。その構造……、暗号のコアを複雑にして安全性を高めたつもりが……もしそこにバイアスが潜んでいたら……。それでも、古典時代なら問題はなかった。


 でも、量子時代は違う。そのバイアスを量子が餌にし、量子オラクルがそこへ作用してしまう。そしてショアの要となる「領域の変換……QFT」を、そこに割り当てられてしまう、なんて……。よくこんなの……考えつくわね……。


 そうなると、暗号のコアを素因数分解にするか、楕円曲線にするかが分かれ道になるわ。古典時代では、楕円曲線の複雑さが安全性につながり、それゆえに……仮想通貨は楕円曲線を選んだ、のよね?


 しかし、量子時代は、これが逆になってしまうなんて! 素因数分解のmodは比較的単純な構造だから、バイアスは生じず、量子オラクルは意味を持たない。必然的に、入出力を最強クラスのエンタングルメントで結び、QFTを叩き込むしかない。つまり、高精度な量子演算を実現する「フルスケール」な量子が必要になるわ。


 でも……、仮想通貨の楕円曲線は違った。その構造が「複雑すぎた」がゆえに、量子オラクルが入り込む「隙……バイアス」が生まれてしまった。その結果、弱めのエンタングルメントで済んでしまい、QFTの難易度は大幅に低下。それが、公開されているわずかな量子性能でも破られてしまったという、あまりにも逆説的な性質が……楕円曲線という暗号のコアに巣食っていたなんて。


 こんなの……こんなの……血も涙もないじゃない!


 このままじゃ……無料で公開されているような、あの程度の量子性能で……仮想通貨の秘密鍵を……奪取し放題……そんなの……そんなの、あっていいわけない!! そんなのを……フラッシュローン感覚でやられたら……おしまいよ!!


 まさに……、「策士、策に溺れる」……暗号にも、この言葉が当てはまるなんて。安全性を高めるために、あえて構造を複雑にしたはずの楕円曲線。しかし、複雑であればあるほど、その構造はくっきりと際立つ……。そして、その際立った構造こそが、量子演算を容易にしてしまう……「量子オラクル……グローバー探索の牙」の、格好の餌食になるなんて……。

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