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465, Sのラウンド37。今年の秋から来年の秋までの間に達成したいその悲願に、女神にも賛同してほしい。それは『予言』として、あるハッシュ関数の『最小のエントロピー』に埋め込まれている……。

 「クリプトの塔」は順調そのものよ。それにしても仮想通貨って、とても神秘的よね。……あら、女神にそんなことを言われるなんて。でも、そういう逸話は多いの。気が付いたら存在していたとか、誰が放ったのかよくわからないとか。でも、それでいいの。それこそが神秘性を生み出し、こうして存在していくのだから。


 ……そんな中、今日はちょっと不思議なお願い事をされたの。


「女神よ、少し話がある。」

「あら、なにかしら?」

「実はな……どうしても達成したい悲願があるんだ。」

「悲願?」

「そうだ。そして、どうしても『今年の秋から来年の秋までの間に、達成』したい。なぜなら、それが『予言』だからだ。」

「……予言?」


 ……。えっ……。なんか今、絶対に抗えない何かを感じたわ。


「そこで女神よ。これは、数千年にも渡る長き戦いだった。それが、その予言によって、ついに終わるんだ。これも『平和』のためだ。女神よ、どうか、わかってくれ。その予言には『今年の秋から来年の秋までの間』と刻まれている。つまり、何があっても『今年の秋から来年の秋までの間に、完結』なんだ。」


 なによ……数千年にも渡る長き戦いって……。……まさか。最近この地で、やたら過激だったのは、その期間内で全てを終わらせるためだったの? 急に「制圧する」なんて言い出してたし……。でも……、それって仮想通貨とは関係ないわよね? ……ないはず。……ああ、そういうことね。


「……それ、あなたの支持層から得られる票が大きく絡んでいるわね? あの層は投票率がやたら高いから、絶対に見逃せない大きな組織票のはずよ。」

「……。」

「あら?」

「ぶはは。やっぱり女神だな。全て見透かされたか。」

「あらら、そうよ。」

「まあいい。これからの信頼関係のために、このような隠し事は、なしにしよう。」

「……そうね。それで、その予言って、本当なの? どうせただの……。」

「違うぞ、女神よ。この予言は『本物』だ。俺様が聞いた話によると……なんだったかな、あいつら、もともと小難しい話が大好きでさ……うろ覚えなんだが、『ハッシュ』だったかな……なんかそれに、刻印を刻んだらしい。たしか、最小のエントピーとか言ってたな。悪い、うろ覚えだ。」


 ……な、なにを言い出してるのかしら? この流れで、なんでハッシュ関数なんかが出てくるのよ? ……なにそれ、初耳なんだけど。


「つまり……今年の秋から来年の秋までの間に達成したいその悲願に、女神にも賛同してほしい。それは『予言』として……その刻印がすでに、あるハッシュ関数の『最小のエントロピー』に埋め込まれている……。その予言は絶対だから、協力してほしい……そういうことね?」

「そうだそうだ。頼むぞ、女神よ。」

「……わかったわ。」


 ……、こうも押されると、断れないわね。でも……なによこれ、本当に信じろっていうの? その「ハッシュ関数」って何よ? ……まあ、今は使われていない古いやつが「本格的に壊れて」、まさかの「予言」がハッシュ値から出てきちゃった……とか、そんな話でしょ? それなら仮想通貨とは関係ないし……別にいいわね。


 そもそも、予言が刻まれたハッシュ関数って? あら、笑わせないで。さすがの女神でも、それだけは「美しい」とは呼べないわ。そこに触れたらどうなるかくらい……わかっているわ。

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