458, Sのラウンド34。量子の勢力は、「何を考えているのかわからない連中」という烙印を押されるわよ。……あら、その烙印、王の額に押してあげた方が似合うかしら?
わたしは今、この「偉大なる飲み物」を……、一気に飲み干して見せたわ。
「女神よ……やはり俺様の目に狂いはなかった。本物だ。」
「あら、甘いものは得意よ。」
「そうかそうか! それを豪快に飲み干せる……まさしく、この時代を任されるべき女神だな!」
あら、褒め言葉なんて……この時代では珍しいわ。ちょっと、嬉しくなるじゃない。
「ほんと、このようなもので小さな幸せを感じながら、あとはわたしを信じてHODLしていればいいのに……。そこで、どうして量子なの? それがあるのよ。」
「量子だと?」
「そうよ。闇の勢力……情報分野で『王』と呼ばれているあれらが、夢中になって量子ばかり追っているのよ。」
「ほう……それはよろしくないな。その王とやら、俺様は何度もファイトしてきたからな。」
「へえ。本当に『ファイト』なのね。」
「女神よ、そこは迷うことなくファイトだろ! あいつら、ロクでもないぞ。俺様や女神のことを、タコとかイカとか、平然と流行らせる連中だ! 情報分野を握ってりゃ、それくらい簡単なことだろう。」
「うん……そうね。」
ねえ、人や精霊の第六感……直感って、意外と鋭いのよ。ここで量子が稼働する「量子時代」が訪れて……本当に、幸せになれると感じる? そこが、女神であるわたしが、この時代に問うべき点よ。なぜならその目的は、本当に「幸せ」に直結しているの? 率直に言えば、いきなり「グローバーのアルゴリズム」で暗号を切り裂く……そんな計画ばかり考えているのでしょう?
間違いなく、それよね。なら、もう一度問うわ……、その確率振幅、幸せに収束すると思う? よく考えてみて。この時代に、本当に量子なんて必要なの? その影響力を考えたら……現状、幸せにするより、地獄に突き落とす確率振幅の方が、はるかに高いわよ。
そして、幸福についてよ。あら、それは古典が、地獄の面を「見せなかった」だけ。でも、量子が振るサイコロは違う……。すべての面を同時に見る。その結果? 地獄の面ばかりに目が合って、そこに収束するのよ。
つまり、そうね……。一様な出力が「量子的に」確認できた、例えば、暗号論的ハッシュ関数の量子版……そう、「量子暗号論的ハッシュ関数」を、みんなで力を合わせて編み出して、標準化して、十分に普及させる。そして、その後で、量子を公開する……順番的には、これよね? 違うかしら?
そうでなければ……量子の勢力は、「何を考えているのかわからない連中」という烙印を押されるわよ。……あら、その烙印、王の額に押してあげた方が似合うかしら?




