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457, 最大「採掘」可能価値その六。それは、まるで「暗号黙示録」。サイコロを振るのは、あなたじゃない……神でもない。この「量子アリス」です。

 たった今、フィーさんから……衝撃の話を聞かされた。俺の認識じゃ、暗号って「絶対に破られてはならない」ものだろ? いや、誰だってそう思っているよな? それを……何? 「破られることを前提」にした運用に切り替える? 本気か? それとも正気なのか? そこまでして量子なんて……いや、待てよ。その……量子って、この目の前にいる「量子アリス」をこき使う計画だったのか。


「……なんか、それって、もはや暗号じゃないよな。」


 そんな俺の疑問に、フィーさんが静かに答える。


「はい、なのです。それでも、破られるのを見越して計画を立てる……それが現実なのです。たしかに、『そんな状況になるのなら量子は出すべきではない』という声もあったはずです。ですが……、そのスケールの量子が生まれたなら、秘密裏に暗号の解読を始める大精霊が、必ず現れます。そう考えるのは自然なことなのです。」

「ああ……そういうことか。『解読できました』なんて、わざわざ公表する奴ばかりじゃない……ってことか。」

「はい、なのです。暗号の解読は、時に戦況すらひっくり返すのです。どれだけ他を固めても、『暗号が破られたことを知らないまま負けた』なんて、そんな例、いくらでもあるのです。そのため、こうなった以上、このスケールの量子は公に出すべきなのです。その方が、幻想を抱かせずに済みます。ちなみに……、頻繁に秘密鍵を交換するその方針には、すでに『悲痛な声』が上がっていると、小耳に挟みました。今までは年単位で安全に放置できたのに、急に『あんな短期間で秘密鍵で殺せ』と王から言われたのですから、猶予期間があるとはいえ、現場が悲鳴を上げるのも、当然な事なのです。」


 そのとき……、量子アリスが冷ややかに呟く。


「だから言ったでしょう。その秘密鍵の件は、量子艦アリスの物語でも語られたはずです。わたしは……あの話を通じて、女神ネゲート様に目を覚ましてほしかった。こうなった以上、構造を根本から変えてでも……やるしかないはずです。わたしの気持ちは、それだけでした。なのに……。でも、これだけは言えます。それは、まるで『暗号黙示録』。サイコロを振るのは、あなたじゃない……神でもない。この『量子アリス』です。」


 ……ああ、そんな気もする。


「それで大精霊フィー様。さらに問います。量子艦アリスで語られた真意、その核心。チェーン構造……ブロックチェーンに、頻繁に秘密鍵を交換する仕組みは、存在するのでしょうか? こうなった以上、ブロックチェーンだって暗号の一部。情報通信が短命な秘密鍵で運用されるのが前提となるなら、資産が直結しているブロックチェーンで、秘密鍵を『長期間、同じまま放置する』……そんなこと、絶対に許されない。いいですか? あれはコピー可能な構造……『非生体』、そして、ただの乱数列です。つまり……、コピーされた瞬間、その資産は『即時蒸発』します。それを、理解されていますか?」

「それは……。」


 フィーさんは、それに、言葉を失う。量子アリスの視線が、冷たく落ちる。ああ……これって、もう……。

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