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454, Sのラウンド33。量子の刃、グローバー。

 これは時代を任された女神として命ずるわ。仮想通貨に対する推論と量子による接触の痕跡……すべて沈めなさい。見つけ次第、速やかに、痕跡を消し去るのよ。迷ってはならない。その動きは、祈りより速くあるべきよ。それがHODLを護る、唯一のメソッド。


 ただし……量子アルゴリズムの「ショア・ブレイカー」のみ、その接触を許すわ。全てを排除すれば、かえって疑いを招く。けれど、忘れないで。絶対に、触れさせてはならないものがあるわ。そう……「グローバー・ドライブ」と「量子アニーリング」よ。それにしても……グローバー、なんと深い、闇の響き。


 そう……あれは「グローバーのアルゴリズム」と名乗っていて、よりにもよって、この肝心な敵に対する耐性が……ポスト量子暗号にも存在しないの……? はっきり言って、ショアなんて、どうでもいいのよ! それには有効な防御策……ポスト量子暗号があるからよ。なのに、わざわざコンテストまで開いて……ああ、余計に変な「安全神話」を演出してしまったじゃない!


 でも、グローバーには? ないのよ。耐性なんて、どこにも……。だから、許せない。量子の刃、グローバー。もう、これだけは……早急に、手を打つべきね。とにかく触れさせない、それしかないわ。


「これで、いかがかしら? これが女神としての覚悟よ。よろしいかしら?」

「それはいいが……監視の目は、どうやって光らせる?」

「もう……。わたしを誰だと思っているの? わたしは時代を任された女神よ。そんなもの……ちょっと力を振るえば、この通り。……、ほら、できたわ。沈黙の底に沈める痕跡に向かって即座に動く、祈りを持たない自動人形……そうね、オートマタとでも呼びましょうか。」

「オートマタか……。塔に、そしてオートマタ……。これはもう神話だな。」

「あら、そう言っていただけるなんて、とても光栄よ。」


 わたしたちは、真の自由を謳うのよ。検閲のない、自己主権の時代。仮想通貨の楽園。美しいでしょう? でも、この塔を動かしているのは、時代を任された女神である、わたし。あなたたちは、その箱庭で「自由」を楽しんでいればいいの。その裏で、わたしが全てを護る……HODLと、この秩序を。


 誰……? この箱庭を壊そうとするのは? どうしてそこに、「量子の刃、グローバー」を向けてくるの……? 箱庭で自由を楽しむことの、何がいけないの……? どうして……それを壊して、狂乱の時代に引き戻そうとするの……? ひどいじゃない……なんで? HODLとミームで……十分でしょう? 違うの……かしら……?

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