表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

442/565

441, Sのラウンド23。その原因は、チェーン構造……ブロックチェーンのパラドックスです。「真の量子耐性」をブロックチェーンに組み込むには……量子演算そのものが、必要になるのです。

 フィーさんが淡々と語り始めた。その表情は、どこまでも暗い。量子アリスは、ひざまずいたまま、少しだけ顔を上げ、フィーさんを見つめている。


「……まず、結論から、なのです。その原因は、チェーン構造……ブロックチェーンのパラドックスです。『真の量子耐性』をブロックチェーンに組み込むには……量子演算そのものが、必要になるのです。」


 ああ……なんだ、それ。背筋が凍るようなパラドックスだ。未来を……量子の脅威から護るためには、未来の量子演算が必要だった。そういうことなのか? 量子アリスは、ただ震えていた。


「ちょっと、……。……大精霊フィー様、それは……。」


 フィーさんは、わずかに目を伏せ、息を整えた。


「わたしは……それを知った瞬間、決めたのです。……何だってする覚悟で、この回避策を探す、と。だから、動いたのです。あらゆるものを巻き込み、必死で抗った……。しかし、そんな都合のいいものは、因果律にすべて潰されたのです。未来を変える? それとも、未来を騙せ、なのです? ……そんな都合の良い概念なんて、一切、許されていなかったのです。それが、映し出された『現実』でした。」


 ……、……、……。沈黙。そのとき、俺の方をチラリと見た。


「それで……なんだい、フィーさん? そんな目で見られたら、気になるだろ……?」


 ううん……、それって……。俺、もしかして……。いや、今はそれどころではない。……今、胸に刺さったこの違和感は……、とりあえず、心の奥にしまっておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ