439, Sのラウンド21。チェーン構造……、その形から「ブロックチェーン」と呼ばれる仕組みには、量子ビットへの耐性……すなわち「量子耐性」を導入する道が、最初から存在しなかったのです。
ああ……、大変なことになった。そして、俺の目の前で、量子アリスが……ひれ伏している。その先に立つのは……フィーさんだ。
あれから量子アリスは、すべてを正直に話した。そう、事の顛末を、フィーさんに……。そして今、こうなった。沈黙のまま、地にひれ伏したまま……。
「もう……なんて謝罪したらいいのか……。もう、消滅することで……償うしか……。」
「量子アリス。……顔を上げるのです。」
それでも……、量子アリスは微動だにしない。あの「量子艦アリス」から……こうなってしまった、と信じているからだ。だが……フィーさんの考えは、まったく違った。
「……もう……どうしたらいいのか……。」
「いいですか、よく聞くのです。これは、あなただけの問題ではないのです。最後に、たまたま……その『量子艦アリス』だったというだけなのです。つまり……わたしも、悪いのですよ。」
「えっ、……大精霊フィー様も悪いって……?」
「はい。わたしも、悪いのです。だって……だって……。」
フィーさんの様子がおかしい。胸の奥がざわつく。この違和感……何だ?
「……。」
長い沈黙の後、フィーさんはゆっくりと口を開いた。
「……そうですね。ここで、真実をお話ししましょう。……、もちろん、それで許されることは……ありません。」
「大精霊フィー様……。……、えっ……真実、ですか?」
「……はい、なのです。」
それから……フィーさんは、ゆっくりと……、その真実を語り始めた。
「チェーン構造……、その形から『ブロックチェーン』と呼ばれる仕組みには、量子ビットへの耐性……すなわち『量子耐性』を導入する道が、最初から存在しなかったのです。」
「……、はい?」
……俺ですら、その意味くらいは何となくわかる。つまり……もし量子が台頭してきたら、維持できないもの。それが……チェーンだった。そういうことだよな? それで、仮想通貨だっけ。そこに……ぶら下がるのは……。
量子アリスは、ただ唖然としていた。そうなるよな……。でも、これを神託で結んだのがネゲートだ。でも……なぜ? フィーさんは、いつからそのことを知っていたんだ? それなら、ネゲートを止めることだって……。
「……衝撃、ですよね。もちろん、これから論理立てて説明します。なぜそうなのか……、すべて……。」