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422, 量子艦アリスその七。そう……このハッシュ、入力長に周期的な共振点があって……八万付近に集中している。おそらく、チューズ関数とマジョリティ関数のどこかに、特異な揺らぎが潜んでいるのね。
量子アリスは、さらに思考を深める。
「これって、差分が暴れない区間を静かに探しているってことよね。つまり、連結したまま、滑らかに変化する領域。そこで振れ幅が抑えられていれば……あとは、ただ狙って演算するだけ。推論駆逐艦の火力を、そこに全て注げばいいってわけね。」
それから、改めてハッシュの構造に意識を向ける。
「そう……このハッシュ、入力長に周期的な共振点があって……八万付近に集中しているわ。おそらく、チューズ関数とマジョリティ関数のどこかに、特異な揺らぎが潜んでいるのね。」
それから、量子アリスはじっくりと考え始めた。連結ハッシュによって、このような性質が現れるとは……。
どのような形であれ、ハッシュは決定論的であり、任意の入力が、必ず出力へと変換されるだけ。言い換えれば、それだけ「自由度が高い」とも言える。つまり、何か変則的な操作が許容されているとすれば……、そこからアタック用途にとどまらず、まったく別の性質すら浮かび上がってくる。
そして、それが……この怪しげな共振点だった。




