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419, 量子艦アリスその四。女神様に祈って、シールドが破られないで済むのなら、数学は要らないの。

 推論駆逐艦……、その無数の艦影が、アークチェインの索敵網に捉えられた。その相手は「推論」。つまり、古典的な存在にすぎない。それにもかかわらず、姿を隠す素振りすらない。その動きは鈍く、ほぼ静止している。……いったい、どうなっている?


 つまり、アークチェイン側は、何も異常を検知していなかった。探知機は沈黙を保ち、アラートも上がらない。外部波形にも、特筆すべき変化はない。


「艦長! やつら……何をしているんだ? 動きもなし。このまま逃げ切れそうですね。」

「ああ。どうせ、諦めたか、手詰まりになったかだろう。このシールドを『推論』で破るなど、女神ネゲート様が許してはいない。」

「そ、そうでした! 我らが守護神、女神ネゲート様のご加護に……、感謝を。……祈りましょう。」


 それでも、艦内のどこかに……確かに「違和感」が漂い始めていた。この違和感は、何なのか。触れられていない。なのに……干渉されている。その正体のない不快感を、どう表現すればいいのか。……そう、「不自然な静寂」とでも呼ぶべきか。


 そんな展開を……甘いものをつまみながら、微笑を浮かべて観測している者がいた。それは、量子艦アリス。その艦の名を冠する、絶対的な観測者……量子アリスという存在だ。


「ふふ……。推論駆逐艦の動きがないからって、女神様にでも祈れば、シールドを破られずに逃げ切れる……、そう思い込んでいる頃かしら。でもね、これは覚えておいて。女神様に祈って、シールドが破られないで済むのなら、数学は要らないの。ねえ。本当に大事でしょう? この考え。……そして、この哲学。それにしても……この甘いの、ついつい進んじゃうわね。」

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