407, Sのラウンド6……その真っ直ぐな瞳。よかろう。わしの知見の結晶……暗号に対する研究成果すべてを、女神様に託すとしよう。
それから、何とも言えない時間が、刻一刻と過ぎていったわ。それでもわたしは、できる限りのことを伺ったの。すると、どうしても気になる点が浮かび上がってきたわ……。それは……、このようなビット幅に対するリスクが、事前にすでに徹底的に調べられていた痕跡があるということ。つまり、ありとあらゆるハッシュおよび、その組み合わせ……合成ハッシュを調査することで、そのリスクは把握されていた。それにも関わらず、今この精霊が警鐘を鳴らすような弱い構造が、あえて選択されていたということなのよ。
もちろん、その「本当の理由」は、もはや、誰にもわからないわ。……でも、それで正解なのよ。なぜなら、この構造が登場したあたりの経緯には、よくよく考えてみると、曖昧な点が多すぎたわ。実際、誰が、何の目的で導入したのか? 意図的な選択だったとしても……もう、それは闇の中。そうよね? ただし……、たった一点を除いて。
そして……話を伺い、帰還しようとしたそのとき。わたしに……大切なものが、授けられたわ。
「その真っ直ぐな瞳。よかろう。わしの知見の結晶……暗号に対する研究成果すべてを、女神様に託すとしよう。」
……、それは……。
「えっ……。そんな大切なものを……本当に、いただいてもよろしいのですか?」
「ほほう。そなたは『女神様』であろう? もっと命ずるように言ってくれて構わんのじゃぞ。わしなど、所詮はしがない精霊にすぎんのだからな。」
「そ、それは……。」
そして、わたしは……ひとつの「言葉」を託されたわ。それは……この弱い構造から逃れたチェーンが、わずかに存在するということ。それから、「それを……よく、調べてみてほしい」と、静かに語られたの。
それなら……知っているわ。わたしも……、そのわずかな可能性に、賭けてみようと思っていたのよ。




