表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

401/566

400, そのように闇の勢力が生まれ変わるのなら、少なくとも……インフレで制御不能に陥った「不換なる通貨」をリセットする目的のために、血が流れるよう仕向ける……そんなことは、もう起きないはずです。

 そういえば、この量子の精霊……。時代が変わる前、一度だけ見かけた記憶があるのよね。たしか……、ううん、変化の直前、あの時だったわ。


「ねえ。やっぱり気になるのよ。今日はなんだか、わたしのことをやたらと持ち上げてくるじゃない? もしかして、わたしが覚醒したから、『今のうちに、女神ネゲート側についておこう』って、そんな魂胆があるのではないかしら?」

「女神ネゲート様……。そうやって核心を突いてくるあたり、やはり……女神コンジュゲート様を彷彿とさせます。」

「あら、コンジュ姉って、闇の中でも相当な影響力を持ってるわよね? あの立場……女神でもあるし。」

「はい。それが……、影響力というより、もう次元が違うと申しましょうか。ここだけの話ですが、闇の勢力が分裂するかもしれないのです。」

「えっ? それって……まさか。」

「はい、女神ネゲート様のご想像の通りで、邪神イオタ派と女神コンジュゲート派に分かれる可能性があります。もちろん、これは極秘の話です。女神コンジュゲート様ご自身は、あまり乗り気ではないのです……。ただ、その考え方の違いに共鳴した闇の者たちが、女神コンジュゲート様のもとに集まり始めている、そうお考えください。」

「なるほどね。ここで……大事なことを聞くけど、あなたはどちら側につくつもりなのかしら? でも、言わなくてもわかっているわ。あなたは当然、コンジュ姉側よね? だって……大精霊シィーが邪神から不当な扱いを受けていたことに、あなた、納得していなかった。だから消去法でコンジュ姉になる。違うかしら?」

「そ、それまでお見通しとは……。」


 ふふっ。これでようやく納得できたわ。なぜ今日、この量子の精霊が急にわたしを持ち上げ始めたのか……その理由がね。


 この量子の精霊……。そういえば、かつてはシィーの傍らで、量子やマジックショーなどを取り仕切っていた存在だったのよ。そして、時代が変わり……誰であろうと受け入れる闇の勢力へと、いつの間にか流れ着いていた。なるほど、そういうことだったのね。


「それで、コンジュ姉が闇を統治するようになれば、闇の勢力も少しは変わるかしら?」

「はい。そのように闇の勢力が生まれ変わるのなら、少なくとも……インフレで制御不能に陥った『不換なる通貨』をリセットする目的のために、血が流れるよう仕向ける……そんなことは、もう起きないはずです。」

「……。さらっと、ものすごく恐ろしいことを言うわね? それでも、あなたは少なくとも、そんな血の流れ方には反対なのね?」

「……、少なくとも今は……。ところで女神様、そもそも闇の者はみな血を好む存在、というのは大きな誤解です。闇の勢力とは本来、過去を問わずにどんな者でも受け入れる……その寛容さこそが力の源なのです。そのため、血が流れることと、闇に加わることの間に相関は存在しません。そこはご安心ください。」


 ……なるほど。そうよね、わたしったら……。コンジュ姉だって、闇堕ちしてそこにいるのよね。そんなコンジュ姉が、血を好むはずがないわ。……うん、納得。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ