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388, 時代を担う女神が覚醒したことは、すぐに知れ渡り、やがてそれは自然と邪神の耳にも届くことになるのです。そこからが……本当の戦いの始まりなのですよ。

 それから、ネゲートとシィーさんは何やら話し込んでいた。もちろん、俺にはその内容まではわからない。ただ……ネゲートの表情を見る限り、解決の糸口は、案外すぐそばにある。そんな予感がした。


 それでさ、見た感じ、話は相当長引きそうだし、ここにいても俺にできることはなさそうだ。それなら、さっさと退散するのが得策だろう。


「おい、ネゲート。それでは、俺はこの辺で……。」

「……そうね、わかったわ。わたしはここで『小さな戦略』を練っておくわ。でもね、量子も意外と余裕がなさそうだった。……それが見えただけでも、少し気が楽になったの。」

「小さな戦略? なるほどな。」

「そうよ。それでも相手は量子よ。待っているだけでは、間に合わない。だからこそ『小さな戦略』を何度もぶつけて、量子の進行を抑えるの。そうやって少しずつ時間を稼ぎ、その間に、量子脆弱性に本格的に対処する準備を進めるのよ。……それが今、最も現実的に見えてきたの。」


 なるほど。小さな戦略、か。すべてを一度に解決するのではなく、段階的に、量子に対して一点ずつぶつけていく作戦。たしかに、それが一番現実的かもしれない……。


 それから、やっとのことで、退散……という形になったのですが……その途中、ああ、また……話が長い大精霊様に、つかまってしまいました。


「あの……、なのです。ネゲートの様子は……いかがでしたか?」

「ああ、フィーさん。あれは……何というか、覚醒したと言うべきかな。」

「そうですか。それなら……良かったのです。」


 どうやら、ネゲートが覚醒したときに何が起こるのかを、ある程度理解していたようだった。……ちょっと待てよ。そういえば、フィーさんも……。


 ああ、そういうことか。あれも「覚醒」だったのか。たしかに、あのときも急にフィーさんの様子が変わったよ……。


「まあ、あの様子なら……、何とかなるさ。」

「……いいえ、ここからが重要なのです。時代を担う女神が覚醒したことは、すぐに知れ渡り、やがてそれは自然と邪神の耳にも届くことになるのです。そこからが……本当の戦いの始まりなのですよ。」

「……。そうなるだろうね。」


 邪神がこのまま黙っているはずがない。間違いなく、さらなる何かを仕掛けてくるはずだ。


「それで……、なのです。だいぶ前の話になるのですが、実は……他にも問題が出てきてしまって……。」

「問題? また『他にも』って……?」

「あの、その……。このような量子の件ではなく、それとはまた別の話なのです。あれは……そうですね、かなり前のことになるのですが……、そのときに取り上げられた件……やはり、ここにきて『食糧の問題』が再燃してきたのですよ。」

「ああ……、それかよ。」


 たしか……「女神の素材」に秘められた驚くべき性質にフィーさんが驚愕した後、そのタイミングで食糧事情の話をねじ込んできた、あの件ですね。フィーさんが静かに、しかし確実に怒っていたのを、今でもよく覚えているよ。それで、いよいよ……、というわけか。

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