380, あんた、気づいてないの? もう……。「闇の勢力が、今も闇をはらんでいる」って……、だから「闇」なんでしょう? ふふっ……!
その瞬間……、静寂が破られた。
「……まだ、終わっていないわよ。」
扉がゆっくりと開く音が、重く、静かに響いた。微かに……、誰かが微笑んだ気配がする。そして、ただその一言を待ち続けていた俺も、そこにいた。
「気分はどうだい?」
「……。わたしは、女神よ。……わたしがこの役割を終えたときは、ちゃんと『正常化』しているのが条件よ。」
「うん、それを聞きたかった。」
「それと……演算、終えたんでしょ? それなら、こんな立ち話ではなくて、シィーから正式に場を設けてもらって、きちんと結果を受け取るわ。……ところで、あっちはどう?」
そうだな。シィーさんの様子を見る限り、少し長引きそうな雰囲気だった。まあ、俺が口を出してもどうにもならない部分だし、そもそも力も及ばない。つまり、協力のしようがない。ははは……。
「あっち? ああ……、それについては、あまり変わっていないね。ただし、ネゲートを心配する声は増えてきているよ。中には、闇に対する不満を直接寄せてくる民も出てきた。どうやら、あの闇の勢力……過去にかなり色々とやらかしていたようで、今もずっと……相当な闇をはらんでいるらしいね。」
「……ふふっ。」
ネゲートが、突然クスクスと笑い出した。……え? 俺、なんか変なこと言ったか?
「ど、どうしたんだよ、急に?」
「だって、それ……ほんと、おかしくて!」
「おかしい……?」
「あんた、気づいてないの? もう……。『闇の勢力が、今も闇をはらんでいる』って……、だから『闇』なんでしょう? ふふっ……!」
あっ……そういうことか。……確かに、それは言われてみれば、完全にその通りだった。
「まあ……でも、これで調子が戻ってきたわ。……ありがとう。」
「えっ?」
……その一言に、思わず息を呑んだ。まさかネゲートの口から、そんな言葉が聞けるとは思っていなかったから。どうやら、結果的には良い方向に向かったらしい。これで……女神は無事、戻ってきた。




