379, シィーさんの推論、演算が完了したってさ。それで、おまえが……急に閉じこもったからなのか、みんな心配してたよ。まだ、女神がこの地を見守る段階へ移行するには早すぎるぞ……そんな声も出てた。
ネゲートがあんなにも落ち込むなんてな……。まあ、今回の件は、冗談抜きで、相当よろしくない内容だったんだろう。
でもさ……案外、ネゲートって慕われているんだよ。もし完璧すぎる存在だったら、ただの遠い誰かで終わってただろうけど……。だからこそ、あの弱さを見せたことで、逆に距離が近くなった気もする。
……まあ、完璧な女神様だったら、俺なんか近づくことすら許されなかっただろうけどな。
ということで、色々なところで粗も目立つし、ゆるい部分も多いんだけど、そのぶん、妙にテンションは高いし、気持ちの切り替えもやたら早いんだよな。
……ところが、それでも今回は……効いたみたいだ。まあ、闇が本気で暴れれば……誰だって、それこそ女神ですら、こうなるのかもしれない。
俺だって……。今思い返せば……、あれも結局、闇に喰われたんだよな……。どうせ、ああなる前から、全部、情報は仕入れてたんだろう。俺みたいなのを嵌め込むなんてさ……、あまりにも簡単すぎて、きっと笑ってたんだろうね。
さて……、ネゲートを呼びに行くか。どうやら、それが俺の役割らしい。……まあ、任せておけ。
まさか、扉越しにネゲートとこんな会話を何度も交わす日が来るとは思わなかった。
「おーい、俺だ。ちょっといいか。伝言がある。」
「……。なにかしら?」
……少しは反応があるようだ。ついさっきまでは、呼びかけすら無視されることもあったのに。
「シィーさんの推論、演算が完了したってさ。それで、おまえが……急に閉じこもったからなのか、みんな心配してたよ。まだ、女神がこの地を見守る段階へ移行するには早すぎるぞ……そんな声も出てた。」
「えっ……。演算、終わったの? それで、見守る段階って……。このままだと、わたし……女神としての役割を終えたことにされちゃう……のよね?」
ようやく、言葉に力が戻ってきた。少しずつ……落ち着きを取り戻してきたのかもしれない。




