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368, それは、その日の午後のことだった。当然、あんなにも目立つ見出しが出ていたのだから……。あいつが見ていないはずもなく……。

 これは、その……。そんなの、言われなくても、わかってるってば。一度でも狙われたら、何度でも……。


 それは、その日の午後のことだった。当然、あんなにも目立つ見出しが出ていたのだから……。あいつが見ていないはずもなく……。


「おい、ネゲート。朝から、ちょっと異様な記事が出ていたぞ。やっぱり女神に関しても、そういう追及記事が出始めるんだな。」

「……見たんだ。」

「あんなにも目立っていたからな、すぐにでも見たさ。でもまあ、今のところは『他のことにも目を向けてくれ』で済んでいたな。……ただ、あれはまずいね。そのうち、女神が管轄しているはずの精霊が、まさかの出金不能に陥っているとか……。ああいうのを、あれらが嗅ぎつけ始めたら……、あとはわかるだろ?」


 そうね。今のところは、「夢中になり過ぎていないか」という程度の問いかけに留まっているわ。でもいずれは、そっちにも確実に動き始める。嗅ぎつけられる前に……こちらが動かないと。でも……その原因は、そう……預かった流動性をそのまま出金対応に割り当ててしまう「ポンジ構造」にあるのよね。そんなもの、そう簡単に解決できる話ではないわ。実際、どう見ても回収の見込みが立たないような「高い利率」が、甘い誘い文句とともに、いまだにあちこちを駆け巡っていたわ。


「それでも、女神に対しても『ちゃんと意見できる環境』って、大事だよな。これが……あっちの大精霊だったら、そういうの、かなり危ない感じになりそうだけど。はたして、どうかな?」

「あら? あっち? それね、おそらくその日のうちに、そのような記事のリリースに関わった者たち全てが……『消息不明』にでもなるわ。」

「……、やっぱり、そうなんだ。それは……ちゃんと覚えておこう。」

「うん、その方がいいわ。あんただって、すでに経験はあるはずよ。えっと、あの工場の件……。あの時、それを少しアピールしただけで、『まさか担い手にもそんな過去が』って、なったわよね?」

「……あの工場? ああ、それって……。」

「そうよ。あっちの大精霊って、基本的にそういうのが好みなのよ。それでね、そのような仕組みに、大規模なサプライチェーンを管理する精霊が組み合わさってしまうと、もうそれは……ほぼ『闇』が確定となるわ。つまり、あんたが体験したような、軟禁状態で延々と組み立てを強要されるとか……ね。」

「……。そういうのって、本当に実在してしまう。ところで……、今でも?」

「うん、今でもあるわ。」


 そうね。このあたりもしっかりと女神として、こいつに叩き込んでおく必要があったわ。これもまた、この地でずっと活動していくのなら……欠かせない知識になるのだから。


「そういうことだったのか……。結局、俺があのとき、組み立てを強要されていたあれらだって……。」

「そうよ。あれらは、精霊が活動していく上で『不可欠なもの』なのよ。それだけ重要でありながら、わざわざ人の手で組み立てなければ動かない……。ある意味、不思議な媒体とも言えるわね。」


 ほんとにもう……。まあ、なんとかなる……かな。そんな、少し甘い考えが頭をよぎった……その瞬間だった。そう、量子アリスから、また……。

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