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359, ……女神は、まあ、格別にうまいんだろうな。でも、それを評価するのは我ではない。古の大精霊様に献上しなくてはならない。……まあ、仕方ない。そのへんの腐った精霊でも相手にして我慢するさ。

 そういえば、なんと……闇の勢力を追われた者が、我らの傘下に加わったとの報せが届いた。なにやら不穏な動きもあるようだが……古の大精霊様が認めた以上、我らとしては従うしかない。


 さて……その者、闇の中でどれほどの幅を利かせていたのか。それ次第で、保有している情報量が大きく変わる。もしかすると、情報をすべて吸い出すまではちやほやし、吸出しが終わった途端、行方不明という形で処分するつもりかもしれない。


 ……まあ、そんなのはこちらでは普通の出来事だ。それでもただ一つ、どうしても腑に落ちないことがある。その者は一体、いつから、我らと共に行動していたのか。


 それについては、何も知らされていなかった。それがどうにも引っかかる。……が、気にしても仕方のないことだろう。と、そんなふうに割り切りかけていた矢先。あの右腕の方から……呼び出しを受けたのだ。


 大急ぎで、指定された場所へ向かう。……なぜだろう。鼓動が、妙に早い。緊張しているのだ。……ここから先は、一つの誤りも許されない。なぜなら、たった一つでも誤れば……、それは、「行方不明」という形で処理される。ここでは、それが常識なのだから。


 そして、そこには……右腕の方のほかに、見知らぬ顔があった。……だが、なぜか、わかる。その者はきっと……闇の勢力を追われた者だ。これが、第六感というやつなのだろうか。言葉にできない「何か」が、漂っている。


 ……そして、呼ばれた理由が告げられる。この者を……「我らと同じチームに加えよ」という、上からの命令だった。……やはり、予測通り。そして、この者は……。


「おう、よろしくな。……闇の勢力を追われるなんて、普通はよっぽどのヘマしない限り、あり得ねぇんだがな。そんで、見事に追われちまったってわけだ。」

「確かに……それも気にはなりますけど……。このチームに参加ってなると、貢献するには慣れも必要です。」

「ああ、わかってる。なんでもやるさ。大丈夫、大丈夫。……まあ、それが原因で闇からも嫌われたんだけどな。」

「そうですか……。」


 ……まあ、話は通じるようで、ひとまず安心だ。ただ……そんな破格の待遇、もしかしたら、古の大精霊様のお気に入りなのかもしれない。その可能性が脳裏をよぎった瞬間、本能的に思った。……この場では、一切の失礼があってはならない。慎重に、そして的確に、立ち回るべきだと。


「そうだそうだ。そこで一つ、確認してもいいかい?」

「はい。どのようなことでしょうか?」

「……女神は、まあ、格別にうまいんだろうな。でも、それを評価するのは我ではない。古の大精霊様に献上しなくてはならない。……まあ、仕方ない。そのへんの腐った精霊でも相手にして我慢するさ。」


 ……この者は、いったい何を言おうとしているのだ? 表面的には会話だが……、その意図がよくわからない。何を、どうするつもりなのか。……いや、それ以前に、なぜ、いまそれを口にする?

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