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347, 新しい時代は、我ら古の大精霊様の手の中にあるのだ。……いい加減、目を覚ませ。もう、あいつらのファーストなんて、あの忌まわしき通貨と共に、とっくに寿命が尽きているのだよ。

 ふと目にした……とある速報。西で頻繁に流れている、あの手のやつだ。だが、その見出しだけは、妙に目に残った。


「地の大精霊が落ち着けば、女神様と共に、新しい時代の構築が始まる。」


 地の大精霊……、そう、それは古の大精霊様のことだ。


 そんな……都合のいい解釈で、物事を勝手に進めるなんて……、勘違いも、ほどほどにしてほしいものだ。どこをどう解釈したら、そうなる? せっかく……女神までも丸め込めたというのに? それで、いよいよ女神と共に新たな時代の構築が始まる、だと? ……違う、そうではない。新しい時代は、我ら古の大精霊様の手の中にあるのだ。……いい加減、目を覚ませ。もう、あいつらのファーストなんて、あの忌まわしき通貨と共に、とっくに寿命が尽きているのだよ。


 ……さて。裏では、この状況をどう呼んでいるか……知っているか? 我ら側と距離が近い者たちは、皆、口を揃えるのだ。「ゴールドと離れた通貨など、総じて使い物にならない」と、そう断言している。不思議なことに、そこにチェーンなどの言葉は一切出てこない。つまり、表向きは古の大精霊様を含めて一同にチェーンを推しているように見えるが、それは違うと、この場で断言しよう。つまり、実際のところは……価値として信用されているのは、ゴールドだけということだ。


 それならチェーンは? はは、決まってるだろう。ただの政の道具さ。使えるうちは使う。……ただ、それだけのことだ。


 なぜか? 答えは簡単だ。結局、そのようなゴールドだけが……時代を超えて持ち越せるのだ。それ以外のものは……どんなに精巧な形をしていようと、どんなに革新的に見えようと……すべて、「期間限定の価値」しか持ち合わせてはいない。


 それは違う? そう思うのなら……自分の目と耳で、確かめてみることだ。大げさな調査なんて必要ない。ただ、少し……聞き回ってみるだけで、十分だ。


 よって、秘密鍵のラグに関する問題など、あんなもの……ただの回収だ。本来あるべき場所に、その価値が戻るだけの話だ。気にすることはない。むしろ……当然の流れだ。そもそも、あのようなファーストを叫ぶだけの狂った大精霊に信用なんて最初から存在しないだろう? せめてもの話さ、どこから得たかもわからないカネを抱えたまま、逃げ回る……。その途中でこぼれ落ちた分まで、貪欲に拾い上げて「虚構」の上に積み上げる。それが今……目の前に映っている「現実の姿」だろう? ……違うか?


 結局、みな……、古の大精霊様の掌の中で、気づきもせずに踊っているだけなんだ。それが現実さ。笑うしかない。


 それでも……よく、ここまで我慢されたものだ。伝統ある古の大精霊様が、あんな突然湧き出た風の大精霊どもに次々と奪われ続けるなど……今後、絶対にあってはならない。そしていよいよ、我らには「確率」すら味方し始めている。それは、そう……本来、起きるはずのない確率と、ごく稀にだが発生してしまう確率の、あの「境界線」だ。


 実際のところ、この違いこそが、量子的な観点から見ても……理なのだろう。そして、あの秘密鍵たちは……うまく「やってのけた」のだ。ほんのわずかな確率の揺らぎをすり抜け、その境界線の「発生側」に入り込むことができた。こちらも、それだけの話だ。


 大精霊が管理している通貨であれ、チェーンであれ……あれらは器ではない。価値を移動させるための、ただの道具に過ぎないのだ。そして、道具であるなら……最も巧妙に、最も効率的に活用された側が勝つ。


 ようやく、分かってきたはずだ。それで、大精霊の通貨が闇の勢力に支配されてしまったのなら……別の道具を生み出せばいい。チェーンとは、これすらも、それだけの話だった。そして忘れてはならない……、「所詮、道具である」という、その本質を。


 つまり、我らが勝利するまで持ちこたえればいい。そのために、そのような道具は最初から……、我らに有利となるように設計されているべきなのだ。


 それこそが……あの「圧縮されたアドレス探索空間」だ。そして、その構造が下手にいじられないように、「変わらないことこそ美徳」という哲学をかぶせる。それが、何よりも大事だったのだ。


 ただし……闇の勢力が、これほどの構造に気づいていないはずもない。まさか……こんなにも早い段階で、「量子」を解放してくるとはな。正直言えば、あのような量子の投入は……、本来、あのようなものは少なくとも二つの時代……いや、半世紀は早いぞ。


 だが、それが意味するものは明白だ。闇の勢力が狙っているのは、その「圧縮されたアドレス探索空間」だ。そこを崩壊させることで、我らの計画を完膚なきまでに終わらせようとしている。それが、やつらの魂胆だ。


 ……だが、我らは、そう簡単には折れはしない。むしろ、これからだ。こちらの勢いも……最大級へと、増していくだろう。どうやら、あの女神は……こんな状況にも関わらず、話し合いですべてを終わらせようとしているらしいが。ははは。


 ならば、なおさらだ。こうして残り時間が限られたとなれば、我らも……大胆になるしかないというものだ。……実際、そうだろう?

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