334, まあ、そう……なのね。少し気になるのなら……調べておくべきね。たしかに、同じ鍵でも「非圧縮」と「圧縮」、二つの状態があったわ。
量子アリスが、「あともう一つだけ」と言いたげな表情を浮かべた。わたしは、それを見逃さなかったわ。
「なによ? もうここまで来たら、全部話しなさい。あと何個積み重なろうと、どうせ全部一緒よ。」
「はい。……それなら。ここで、『鍵の形』に注目してください。それは、非圧縮と圧縮……二種類の形式が存在します。」
量子アリスはコンジュ姉の従者、そして精霊よ。その時点で、徹底的に調べ尽くしてくることは想定していたわ。でも……わたしどころか、フィーすら見逃しそうな、そんな盲点まで……。量子アリスは、しっかりと見ていたのよ。
まあ、そう……なのね。少し気になるのなら……調べておくべきね。たしかに、同じ鍵でも「非圧縮」と「圧縮」、二つの状態があったわ。
さて、二つの状態が存在する理由……それは、この鍵が楕円曲線上の座標になっているからよ。平面上の点なら、当然、横と縦の二つがあるわよね。
まず、非圧縮では、この二つの座標をそのまま連結して、先頭に非圧縮形式を示す目印を付けた構造になっているわ。
でも……楕円曲線上にあるのなら、片方の座標からもう片方は「計算できる」はずよね? ただし、そこには一つ注意があって、計算結果が二つに分かれるのよ。そこで、その識別を先頭に加えて目印にすることで、実質的には片方の座標だけで足りる。このような圧縮形式で鍵がコンパクトになるのは、そういう理由なのよ。それで、非圧縮と圧縮……どちらも同じ「公開鍵」になるってこと。
たしかに……気にはなるわ。でも……これで、何が変わるというのかしら、ね?




