314, そうだな。とりあえず……量子とかはよくわかんねぇけど、「カネ返せ」の方は全部、俺に任せろ。つまり、……俺を先に通してくれてもいいんだぜ?
わたしは、思い切って……あいつに申し出たの。いったん、女神とのコントラクト……「担い手」を解除してほしい、って。もう、これしかないわ。全部、わたしが悪いのだから……これは、しょうがないのよ。
「……俺じゃ、力不足……ってことかな?」
「ううん、違うの。こんなことになってしまって……もう、これしかないって判断したのよ。」
「ああ、そんなことか。それなら別に気にすることないよ。」
「えっ?」
「だってさ、採掘の精霊のやつらだって、結局は『欲』だろ? チェーンより欲が勝っただけ。で、採掘しかできないものを大量に抱え込んだ。そうだよな? だったら、自分が悪いでいいだろ。なんでそれで、女神に『カネ返せ』になるんだよ?」
「……、あんた……。」
「それと、出金不能の件な。これもさ、女神にカネ返せってのは、どう考えてもおかしい。だって、あんな高い利率で、大事なもんを預ける気になるか? 元トレーダーの感覚から言えば、年で四パーセントでも十分に高い水準だ。それが何? 二桁が『普通』とか言われてんだろ? ……まったく、何やってんだよ、ほんと。」
「……。」
わたし……、まだ、何とかなるのかな。……そんな気に、させてくれた。
「そうだな。とりあえず……量子とかはよくわかんねぇけど、『カネ返せ』の方は全部、俺に任せろ。つまり、……俺を先に通してくれてもいいんだぜ?」
「ちょっと、それって……?」
もう、わたし……。その嬉しさは、言葉にならなかった。この先、まだまだラグプルだって続くかもしれない。それなのに……こんなふうに、誰かが隣にいてくれるなんて。
うん、わたしはわたしで、できることをやるわ。それが、せめてもの……、わたしの「答え」だから。
 




