表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

303/590

302, 量子脆弱性は、「次元の呪い」に安全を委ねてしまった、そのツケね。この高次元空間なら量子でも大丈夫、どうせ削減効果は平方根程度だから……。そんな「平方根の幻想」という深い谷に、女神は堕ちたの。

 それからわたしたちは、この状況を招いた原因……ハッシュと呼ばれる存在を、じっと観察していたわ。すると、どうやらこのハッシュ……、最初からわたしたちに「この量子脆弱性」をそれとなく示していた、そう解釈できるような、奇妙な兆候が一つだけあったのよ。


「ネゲート、よろしいですか?」

「なにかしら?」

「ねえ……私も、いるのよ?」

「あ、そ、その……女神、コンジュゲート様……。」

「……そんなに、『闇の勢力』は苦手かしら?」

「そ、それは……。そう聞かれると……苦手、なのです。」

「そう……。でも、今はそんなこと言ってる場合じゃないの。ちゃんと、私も輪の中に入れてくれるかしら?」

「は、はい、なのです……。」


 それから……フィーは、あのハッシュの「初期化ベクトル」に着目して、いつもの長い話を始めたの。ただの数の羅列にしか見えない……その値。けれど、それは決して無作為に並べられたものではなかったわ……。どうやら、その初期化ベクトル……「平方根」から導かれているんだって。ちょっと……平方根って!?


 こんなところに、平方根が隠れていたなんて……。そうよ、私たちは……、この「平方根の幻想」を見ていたの。ただ平方根になるだけ。だからチェーンの安全性は保たれている……そんな幻を、ね。


 結局、量子脆弱性は、「次元の呪い」に安全を委ねてしまった、そのツケね。この高次元空間なら量子でも大丈夫、どうせ削減効果は平方根程度だから……。そんな「平方根の幻想」という深い谷に、女神は堕ちたの。


「さて、フィー。そろそろ、あっちの量子脆弱性も見てみましょうか?」

「はい、なのです。まずは……そうです、あらゆる想定を見越したシミュレーション、そこから確認していくのです。」

「私も興味あるわ。」

「あ、あの……。」


 コンジュ姉は「闇の勢力」としての興味なのよね、それ……。……まあ、いいわ。一緒に、見てみましょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ