302, 量子脆弱性は、「次元の呪い」に安全を委ねてしまった、そのツケね。この高次元空間なら量子でも大丈夫、どうせ削減効果は平方根程度だから……。そんな「平方根の幻想」という深い谷に、女神は堕ちたの。
それからわたしたちは、この状況を招いた原因……ハッシュと呼ばれる存在を、じっと観察していたわ。すると、どうやらこのハッシュ……、最初からわたしたちに「この量子脆弱性」をそれとなく示していた、そう解釈できるような、奇妙な兆候が一つだけあったのよ。
「ネゲート、よろしいですか?」
「なにかしら?」
「ねえ……私も、いるのよ?」
「あ、そ、その……女神、コンジュゲート様……。」
「……そんなに、『闇の勢力』は苦手かしら?」
「そ、それは……。そう聞かれると……苦手、なのです。」
「そう……。でも、今はそんなこと言ってる場合じゃないの。ちゃんと、私も輪の中に入れてくれるかしら?」
「は、はい、なのです……。」
それから……フィーは、あのハッシュの「初期化ベクトル」に着目して、いつもの長い話を始めたの。ただの数の羅列にしか見えない……その値。けれど、それは決して無作為に並べられたものではなかったわ……。どうやら、その初期化ベクトル……「平方根」から導かれているんだって。ちょっと……平方根って!?
こんなところに、平方根が隠れていたなんて……。そうよ、私たちは……、この「平方根の幻想」を見ていたの。ただ平方根になるだけ。だからチェーンの安全性は保たれている……そんな幻を、ね。
結局、量子脆弱性は、「次元の呪い」に安全を委ねてしまった、そのツケね。この高次元空間なら量子でも大丈夫、どうせ削減効果は平方根程度だから……。そんな「平方根の幻想」という深い谷に、女神は堕ちたの。
「さて、フィー。そろそろ、あっちの量子脆弱性も見てみましょうか?」
「はい、なのです。まずは……そうです、あらゆる想定を見越したシミュレーション、そこから確認していくのです。」
「私も興味あるわ。」
「あ、あの……。」
コンジュ姉は「闇の勢力」としての興味なのよね、それ……。……まあ、いいわ。一緒に、見てみましょうか。




