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297, おい、女神! おまえ……まさかラグプル、やったのかよ!? こそこそ売って……なに考えてんだ!? カネは返さねぇ、それでラグプルはする……、ふざけんなよ、どうなってんだよ!!

 その重い言葉だけ残し、フィーは、それっきりだった。つまり、残りの解釈を、静かに……わたしに託したのよ。


 わたしは、最初その話を単に……「公開の鍵」から「秘密の鍵」が導かれ、その「秘密の鍵」によってイーシーリカバーが常に真になるのだと考えたの。でも……それなら、普通に「鍵が破られるかもしれない」と話せば済むはずよ。……、たしかにそれも量子脆弱性の一種かもしれないけど、ポスト量子暗号という解決策があるわ。だからこそ、話は順調に進んでいて、量子脆弱性として扱うべき内容ではないのよ。


 でもフィーは……、わざわざ「イーシーリカバー」と名指ししてきたってことは……。つまり、そうよね……。イーシーリカバー自体が、それだけで常に真になるということよね……。


 つまり……、どんな鍵や署名でも、楕円曲線による検証をすり抜けてしまう……ってことよね? ……もうそれって、すべての金庫が開きっぱなしになってる状態で……奪い放題になってしまうわ……。


 しかも……そんなコアでそれが起きてしまうってことは……、このコアをクローンした側まで一網打尽よね……。


 さらに……。鍵を破るタイプの脆弱性は、その都度、鍵ごとに量子演算が必要になるわ。つまり、一つ一つがターゲットよ。でも……これは違う。うん……たった一度の量子演算で「ある値」を知ってしまうと、それだけで奪い放題に……。そういうタイプで、間違いないわ。


 しかも……採掘の量子脆弱性みたいに、時間的な制約すら存在しない。そうね……何日かけてもいい、もし量子演算をフル回転させて、たった一度でも……正解の「深い谷」に、量子の波が落ちてしまったら……。その瞬間、「ある値」は明らかになる。そして……すべての金庫が開くのね。


 ……これは、やばいわ。


 それでも何とかしないと……。でも……。そんな焦りの中……、追い打ちをかけるように、とんでもない速報が出てしまったの。それは……、あるミームが、誰にも知らせず、こっそり動かされて……売られていた。何の説明も、何の言葉もなしに、ただ、静かに。……そんなの、あり得ないでしょう……。


 ちょっと待って……そのミームって……。わたしは、怖くなった。でも……わたしは関係ない。ほんとに、関係ないの。けれど……、「わたしの名を象ったミーム」で、ラグプルのような兆候が出てるなんて……。


「おい、女神! おまえ……まさかラグプル、やったのかよ!? こそこそ売って……なに考えてんだ!? カネは返さねぇ、それでラグプルはする……、ふざけんなよ、どうなってんだよ!!」


 ……恐る恐る開いたマッピング。そこには、予想もしなかった、あまりにも辛辣な言葉の数々が……。そんな……。

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