296, フィー、あなたはいったい何を言ってるの? イーシーリカバーが……常に真になるって……?
あんな狂信的な採掘の精霊を相手にしてきて……、さすがに、ちょっと疲れたのよ。だから、ほんの少しだけ……ゆっくりくつろいでいたの。なのに、突然……フィーからの呼び出し。こんなタイミングでフィーが動くなんて……絶対に、何かある。……覚悟を抱いて、フィーの待つ部屋へと足を運んだわ。
「ネゲート……。あれから私も、採掘の量子脆弱性について、さらなる調査を進めていたのです。」
「フィー……、それで、なにか、あったの?」
「はい、なのです。これは、ネゲートが受け入れたチェーンの話になるのですが……。」
「……ちょっと待って。そっちにも似たようなのが……?」
「……はい、なのです。」
採掘の量子脆弱性……、それだけじゃ、もう許してもらえないのね……。……ほんと、容赦ないわ。その影響は……想像以上に広い。広範囲に、じわじわと……静かに侵食してるのね。
「それで、その脆弱性って、いったい何なのよ? そうね……こっちはステーキングのみで採掘は関係ないから、どうせ『鍵や署名』で何か見つかった、とかよね? まあ、それなら……、危なくなったら対策するって、約束してたはずよ? そっちならポスト量子暗号も、ちゃんと整備され始めてるし……。ね、そんなに慌てることじゃ……。」
「……いいえ、なのです。そこではないのです。この量子脆弱性は……イーシーリカバーが、常に真になるのです。」
「……、……えっ?」
……。なんで……。フィー、あなたはいったい何を言ってるの? イーシーリカバーが……常に真になるって……?