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286, 今度は……なに? もう、ここまで来たら怖いものなんてないけど……それでも涙が出てくる。えっと……ミームガンって、本当に実在してたんだ。それと、女神としての責務……。

 今度は……なに? もう、ここまで来たら怖いものなんてないけど……それでも涙が出てくる。えっと……ミームガンって、本当に実在してたんだ。


 ミームガン……これを一発撃ち込むだけで、誰でも即座にミーム犬をローンチできるという優れモノ、だっけ……。なによ……。こんなの、もうコンジュ姉に茶化される存在になっていたわ。しかも、わたしの神託と絡めて……。


「あんな神託を下賜しておきながら、ミームガンが実在することを知らなかったなんてね。」

「ミーム犬の撃ちまくりなんて……、どうせ寿命も短いんでしょ。」

「ええ、そうよ。せいぜい数分か、長くても数時間ね。ラグプルされるまでが勝負だなんて……そんなの本来なら、女神が許すはずないのに。どうしてなのかな、なんてね。」

「……情けないったら、もう……。」


 ……。わたしのミームは、これで作られたのかもしれないわ……。一応、長期的な運用も可能らしいし……。まったくもう……。どこかでよく見かける便利な道具みたいな名前で……、ミーム犬を次から次へと撃ち出していくなんて……。これが、映し出された「現実」。なんなのよ……。


「ねぇ……ネゲート。ちょっと聞かせて。それは『女神としての責務』よ。さて……、理想と現実の、そのギャップ……すごいでしょう?」

「コンジュ姉……わたし……。」

「いいのよ。それ以上はもう何も言わなくて……。私だって、それを語れるような立場じゃないんだから……。」

「……。」

「……もう、別に『闇に来て』なんて言わないから。でもね……映し出された『現実』って、結局こんなもんなのよ。」

「……。」


 わたしは、何も言い返せなかった。こんなにも現実が厳しいなんて……想像すらしていなかった。それでも、わたしの過去を思い返せば……まあ、こんなもんかって、どこか納得もできてしまうのよね。


 そもそもわたしは……ノルムを壊し、計量すらできなくなった市場を救うために、「仮想短冊の通貨」にすがったの。ところが……量子がチェーンに投げ込まれた影響で、予定通りには進まなくなってしまい……、出金不能や最大抽出可能価値、「第二レイヤー、トークン」をはじめとする、隠れていた「真っ黒な問題」が、一気に表に出てきたのよ。


 でも……逆に言えば、もし今、量子の影響がなかったとして、あのまま進んでいたら……ゾッとするわ。どうせいつか、量子の脅威は表面化する運命だった。もしそのとき、時価が最大まで膨らんでいたとしたら……。

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