表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

286/581

285, 本当に量子が異端とされるならば……もうそれは、取り返しがつかないわ。現実には、量子への対策を怠れば確実にチェーンは破られるだけなのに。

 これが、ミームの呪いなのね……。わたしにまで「カネ返せ」と発展している出金不能は、もはや手に負えない状況にまで来ているわ。口座が凍結されたら、そこにある資産は全額、おしまい。それだけは、確かなことなのよ。


 あれから毎日のように、「ブラックラベル……カネを洗っている」と疑われ、一方的に口座を凍結されて、二度とその自分の資産に触れられなくなったという、そんな事例ばかりになったわ。


 それは残酷よ。出金不能を超えた「凍結」なので、ポジションの解消すら許されず、ただ、カネが消えていくのを呆然と見つめるだけ。


 特に、それが先物だった場合、その精霊によって流動性が操作されれば、スパイクは意図的にいくらでも発生させられる。つまり、ポジションを動かせないまま、ただ見ているだけというのは、そのようなスパイクによってすべてを失うことと同義ってことね。つまり、一度狙われたら最後ってことよ。そこにある残高は、もう助からないの。


 サポートに口座凍結のクレームを入れたところで、終わることのない資料の提出の他、収入の証明まで要求され……、最後には連絡が途絶える。もちろん、何も解決せずに、口座は凍結されたままよ。ただ……、その繰り返しだったわ。


 しつこいようだけど、こうなっては、もう解決なんて望めない。だって、最初から出金不能を解決する気なんて一切ないからよ。そこにあった自分のカネは、他の出金に回されたか、どこかに移されて消えた。もう、それしか考えられないわ。つまり……、なんとかしてあげたいけど……、やっぱり諦めるしかないわ。


 やっぱり……。警告を受けている精霊って、みんなこんな感じで、結局、同じような末路を辿っているのね。今さらだけど、わたし……本当に反省してるわ。あのとき、ちゃんと耳を傾けていたら……。……。


 それでもね、警告を受けていない精霊だって、ここまでくるともう安心なんてできないわ。うまく逃げているだけかもしれないし、特に「高い利率のステーキング」を一度でも顧客に提供した精霊については……、警告を受けているあの腐った精霊と似た、悲惨な状況に陥っていると断言してもいいくらいだわ。だって、それはずっと前から、持続可能ではない、スキャムなスキームだと言われ続けてきたんだからね。


 それだけでも十分に深刻なのに、あろうことか、わたしと共にミームに崇められたあの精霊……、本当に、市場を破壊するつもりなのかしら……。コンジュ姉も、青ざめていたわ。


 そろそろ、あの精霊は「時代を創る大精霊」と呼ばれてもおかしくない頃なのに、誰もそう呼ぼうとしない……。異常事態よ。これ、本当に……。


 そういえば、あの腐った精霊は、もうすでに「大精霊様」と呼んでいたわね……。ああ、そういうこと。……そういうことなのね。


 それで、量子脆弱性の噂が回ってきたのか……、採掘の精霊たちが逃げ始めているのよ。それで最近は、急に推論の精霊になる例が多いわね。そこで、逃げるための時間稼ぎ……そう、まだ量子脆弱性による採掘の崩壊が、表向きには見えていない……つまり、報道を司る妖精がみなで黙っているのよ。絶対に、それには触れないようにして。もう……。


 鉄くずになりそうな採掘の機材をうまく売りさばいて、さっさと逃げる。その行動力には、正直、驚きを隠せないわ。逃げ足の速さも、生き残るための立派なスキル……間違いないわね。


 ……そんな中、終わりの見えている採掘の機材を「移管」という名目で押し付けられて、そこで新たに採掘を始めるなんて……。頭がくらくらするわ、……また倒れそう。この採掘の機材は、ハッシュが変わるだけで他に用途は一切なく「鉄くず」となるのよ。つまり、採掘のアルゴリズムなんて変わったら、もちろんそれも「鉄くず」よ。


 ただね、最も恐れていたことが、ついに起き始めたわ。学術系への支出が、絞られ始めたのよ。しかも、その中には……そう、量子に携わる精霊が含まれている可能性が出てきたの。


 ……たしかに量子は、毎年のように「破ってやるよ」なんて宣言しては、時に良からぬ分野に応用されたりもしたわ。でも、問題の本質はそこじゃないのよ。目に見える現象なんて、全部あとから付いてきた「結果」でしかないのよ。


 もしこの流れで、本当に量子が異端とされるならば……もうそれは、取り返しがつかないわ。現実には、量子への対策を怠れば確実にチェーンは破られるだけなのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ