283, 「量子は異端」なんて、言い出さなければいいけど……。そこが一番、心配なのよ。そんなこと言ったって、チェーンは守れないわ。だって地の大精霊が何食わぬ顔で破ってくるから。お先に失礼って感じでね。
さーて、心機一転よ。コンジュ姉と一緒に、あちこち飛び回ってやるわ。そしたら、早速よ。たったの数週間で、また「量子ゲート」が動いたの。その進化は、あまりにも早すぎるわ。やっぱり、隠してたのね、最初から……。
そして、いよいよ始まったわ。「量子ゲート」と「量子アニーリング」の激しい競争よ。
特に「量子ゲート」は今回、まるで偶然を装うように、より低いエラー率をさりげなく……その実機とともに、公開してきたわ。そう……これは、静かなる宣戦布告よ。
やっぱり……「量子アニーリング」が先日の論文などで躍進してきたせいで、一気に「量子ゲート」側も動き出したわね。もちろん、先手を打ったのは「量子ゲート」よ。チェーンに量子を投げ込んできたのは、他ならぬ「量子ゲート」だったわ。でも、それは……「古典では時間的に解けない問いを、ついに解きました」という次元の話だった。
ところが、「量子アニーリング」は違ったわ。その論文は、「量子ゲート」も狙っているチェーンの「心臓部……採掘コンセンサスメカニズム」を……真正面から直撃したのよ。そうなってしまっては……ええ、激しい競争が始まるのも、ごく自然な流れだったわ。
「コンジュ姉……。これが、ミームの呪いなのかもしれない。なんだか……、想像を超えた出来事が多すぎるのよ。……まだ、何かが出てくる気がしてならないわ。」
「そうね……。この状況で採掘を始めてしまうあんなご様子だと、『量子は異端』なんて、言い出さなければいいけど……。そこが一番、心配なのよ。そんなこと言ったって、チェーンは守れないわ。だって地の大精霊が何食わぬ顔で破ってくるから。お先に失礼って感じでね。」
「……ううん、それは否定できない。たとえ、そんな発言がこの先にあったとしても……、きっと、もう違和感なんて抱かないわ。」
否定も拒絶も、そんなものを量子にぶつけたところで、どうせ別の大精霊が嬉しそうに破ってくるだけよ。だって、常にチェーンは、量子に狙われているのだから……。