282, 流出量や発行上限を定めた「仮想短冊の通貨」なら大丈夫? ……ううん、それは正常化どころか、ハイパーラグプルマニピュレーションという最大抽出可能価値の寿命で崩壊するのよ。
コンジュ姉……。やっぱり優しい。それは、わたしにだけじゃない、周りにも……。そのような気配りから、今でもコンジュ姉を女神として崇める者はとても多く、あの復活の日は「奇跡」とまで呼ばれるようになっていたわ。
ただ……コンジュ姉は闇の勢力よ。つまり、闇もまた、復活したということ。それでも……やっぱり優しい。そもそも「闇」って……。ううん、なんでもない。
「あのね、ネゲート。『大精霊の通貨』はハイパーインフレーションという通貨の寿命で崩壊する。それなら、流出量や発行上限を定めた『仮想短冊の通貨』なら大丈夫? ……ううん、それは正常化どころか、ハイパーラグプルマニピュレーションという最大抽出可能価値の寿命で崩壊するのよ。結局、どちらも……、本質は同じだったのよ。」
わたしは初め、コンジュ姉が言い放った「ハイパーラグプルマニピュレーション」の意味を、うまく解釈できなかったわ。でも……そう。「ラグプル」とはスキャムの一種で、巧みな勧誘でカネを集めたあと、そのカネを一気に引き抜いて奪い去る犯罪を意味する言葉よ。そんなスキャムが、マーケットマニピュレーション……相場操縦と結びつき、信仰の象徴として祭り上げられたミームによって……、ハイパーとなるのね。……合っているわ。
それで、そのようなミームによってかき集められた……未来志向と謳われる分散型の「本当の意味」すら知らぬ者たちが、ミームに踊らされ、最大抽出可能価値という名のスキャムなトランザクションに挟まれることで……永遠に、その生き血を吸われ続ける。そうやって、それらを「捧げる」ことで通貨の価値が保たれているのなら……。その虚構が崩れたとき、それはすなわち……崩壊を意味するわ。
そういえば、ミームガン……なんてね。こんなの、夢の中の話よ。さすがに、実際にあるわけないわよね? ……でも、ラグプルランチャーはありそう。うん。
結局、価値の実体は「そこ」にあった。だからこそ、採掘は分散化などせず、とにかく「占有」する必要があったのね。それで、あのような狂信的な採掘の精霊が現れた……。なぜなら、最大抽出可能価値を取り出すには、次のトランザクションをチェーンに記録する「提案者」に、高確率で選ばれる必要があるからよ。……あるいは、そう。いっそ採掘をやめて、ステーキングにしてしまえば……。えっ……、それって……?
「コンジュ姉……。もう、こうなってしまった以上、進むしかないわ。」
「そうよ。今となっては……。ミームと化したあの精霊も、すでに……。しかも、量子のリスクには一切触れずに、あの採掘にまで手を出すなんて……。」
……。ここまできたら、「第一レイヤー、実物」と値が連動する「第二レイヤー、トークン」で、大きな動きがあるとみたわ。なぜなら、その連動が非中央ではないからよ。つまり、トークンを管理する精霊がその意志で「橋を架けている」だけ。そう……れっきとした中央の構造よ。
つまり、その精霊が「ラグプル」したら、その「第二レイヤー、トークン」は……そう、採掘の機材が鉄くずになるように、瞬く間にただの紙きれ……無価値化するのよ。つまり、資産が消滅するのよ。
でも、分散型でしょう? そうなっても分散型なら、トークンを実物に交換してくれる? そうなったら、誰も交換なんてしてくれないわ。それが「ラグプル」ってやつよ。さらには「分散型」だから、誰も責任を取らないし、誰も追えない。つまり、逃げて終わりよ。よって、誰も助けてくれない。……、これが「未来志向」の分散型って……。冗談じゃないわね。




