281, この、どうしようもないカオスな状況……、邪神イオタ様ですら困惑なさっているのよ。だから、私も同行させて。ネゲートが心配なの。……もう、闇の概念がどうとか言っている場合じゃないわ!
さて、動き回ってやるわ。休んでいる暇なんて、わたしにはもう残されていない。焦燥感ばかりが募ってくる。でもこれは……逃れられない、わたしの定め。ううん……考えがまとまらない。思考が、どこか散らかってる。
それでも……。フィーや、あいつが、優しく声をかけてくれた。そうよ……わたしは、まだやれる。特にフィーは、あの精霊が暴れているせいで苦労しているみたいね。
それで……、あれだけ暴れている割には量子の話題には一切触れようとしない。なぜ? ……そう、触れられない原因が、そこにあるのよ。はっきりしてるわ。あの腐った精霊を見て、わたしをミームで上手く取り込んだつもりなのでしょうけど、そんなに簡単にいくと思わないでほしいわ。わたしは女神よ。……女神が、そう簡単に手に入ると思ったら、大間違い。
「待ちなさい、ネゲート。」
えっ? 背後からの声。呼び止められて、わたしは振り向く。そこに立っていたのは……。
「コンジュ姉! わたし……。」
「うん、その様子だと……元気になったわね。それで……どうかしら? 私のほうでも、だいぶ調査が進んで、いろいろ見えてきたわよ。」
その場で、コンジュ姉から詳細な報告を受け取ったわ。それは……もう、迷ってる時間すらなかった。
この瞬間にも、出金不能が続いているのは間違いない。それで最近ではついに、入金分が残高に反映されずに消える、さらには、ステーキングしていた分が勝手に消える……、そんな報告が次々と舞い込んできていたなんて。これ……もう末期状態どころじゃないわ。
そう、末期を超えたのよ。
だって、出金不能が常態化した時点で、それはもう末期だった。それをさらに「上回る」ような異常事態。もはや、まともなインフラとしての体すら成していない。
それなのに……、最近は毎日のように「入金しましょう」という案内が届くらしいの。「分散型」を強調し、まるで未来志向であるかのような言い回しで……。
……でも、よく考えてみて? まずは出金不能を解決するのが先じゃないの? そんな当たり前のことすら、見失っているのかしら?
分散型? 採掘? そんな話を出す前に、やるべきことがあるでしょ。バンクでさえ、一部でも出金不能に陥ったら……預金キャンペーンなんて不謹慎よ? 暴動が起きてもおかしくないわ。
それなのに、どうしてこっちは平然と「入金キャンペーン」を繰り返してるのよ? ……、完全に順序が、逆なのよ。
「コンジュ姉……。ここまでしっかりまとめてくれて……。」
「ネゲート、よく聞いて。実は……この、どうしようもないカオスな状況……、邪神イオタ様ですら困惑なさっているのよ。だから、私も同行させて。ネゲートが心配なの。……もう、闇の概念がどうとか言っている場合じゃないわ!」
……えっ? コンジュ姉が同行してくれるって……? わたしは……あまりの嬉しさに、その場で飛び跳ねそうになったわ。でも、ダメ……それはまだ早い。喜ぶのは、すべてが終わってから。
この瞬間にも、民が出金不能で苦しんでいるわ。もう、女神として……捨て身でも、やるしかないのよ!
それにしても……あの邪神イオタまで困惑しているなんて……。イオタって、わたしが女神として復活したとき、それに抗う存在として立ちはだかってきた、あの「邪神イオタ」でしょう? そんなイオタまでが……なんてことなの。
これも全部、そう……、あのミームが悪いのよ。まさか……ミームに、ここまで狂わされるなんて。何もかも、メチャクチャじゃない……。
どう見ても、あの精霊は……あのミームの言いなり。そして、ただの隷属よ。こんな状況、まともなはずがないわ。つまり……、あのミームの「さじ加減」ひとつで、……が決まってしまう可能性すらあるってことよ。フィーからも聞いたわよ……。銘柄の方まで、大荒れだなんて。もう、冗談じゃないわ。