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279, 今、まずやるべきことは……、出金不能の問題をどうにかすることよ! それと同時に、量子への対策を講じなければならないわ。それが最優先事項のはずじゃない!

 いつまでも寝込んでいるわけにはいかない。でも……コンジュ姉が、わたしを優しく包み込んでくれる。わたしが動けない分、コンジュ姉が代わりに飛び回ってくれているみたいね。……それにしても、ここまでとは。でも、いまさら後ろには戻れない。何としてでも「量子ビット」に対抗できる手段を見つけて、早急に採掘メカニズムを耐性のあるものに組み替えるしかないわ。


 さて、そろそろ……わたしが倒れ込んだ理由を、フィーに聞いておきたいところ。だいぶ調子も戻ってきた。まだ動き回るには早いとしても、ウォーミングアップくらいはしておかないと。思考を研ぎ澄ませて、何とかしてみせるわ。


 ちょうどそのとき、あら、フィーがわたしのもとにやってきた。忙しいのに合間を縫って様子を見に来てくれるなんて、ありがたい話よ。


「ねぇ、フィー? そろそろ教えてくれるかしら。わたしが倒れ込んだ理由……、そのあたりの記憶が曖昧で、どうしても思い出せないの。」

「……ネゲート。本当に、よいのですか? もしかすると、知りたくないからこそ、その部分の記憶が薄れているのかもしれないのですよ?」

「……ちょっと。わたしは、女神よ。すべてを知る責任があるわ。どんなに苦しくても、受け止める覚悟はできてる。だから……お願い、フィー。」


 それで、わたしは知ることになった……その真実を。わたしと一緒にミームにされていた、あの精霊が……ちょっと、どういうつもりなのよ? こんなタイミングで採掘を始めるなんて……。


 ほんと、何を考えているのよ! 今、まずやるべきことは……、出金不能の問題をどうにかすることよ! それと同時に、量子への対策を講じなければならないわ。それが最優先事項のはずじゃない! ……なのに、どうして今、新たに採掘を始めるなんて発想が出てくるの? ほんと、信じられない……!


 うん……。それを聞いて、わたしは……倒れたのね。……納得したわ。そうよ、きっとその瞬間、わたしの中で「何か」がぷつんと、切れてしまったのよ。


 しかも……。その形態は完全な分離となる「ジョイント」だった。つまり、すでに採掘を行っている採掘の精霊にジョイントする形でスタートするなんて……。それって、完全に罠じゃない!


 なぜならその採掘の精霊は、鉄くずになりかけてる採掘の機材をうまく擦りつけて処分しようとしてるのかもしれないからよ。うまく価値があるように見せかけて、タイミングを見て売り抜ける。うまくいけば、あとはおだてるだけよ。


 本当に鉄くずになったその日には、さらっとジョイントを外すのよ。そうすることで完全に分離し、その採掘の精霊は何食わぬ顔で売り抜けたカネだけを手元に残して、鉄くずとなった採掘の機材の影響は受けずに、そのバランスシートは健全そのものになる。そして……、スマートに採掘を捨てて、「推論の精霊」として生まれ変わり、ホルダーたちの前に姿を現すわ。そして「上手くやった」と大合唱かしら? つまり、そのカネで推論向けの「単精度」や「倍精度」を増強していくってこと。……そういうことよね。


 うん。逆に吹っ切れたわ。調子が良くなっていく……。そろそろ、わたしも動き始めるわ。寝込んでばかりいられない。……さて、次は……、なにかしら?

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