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27, 旅行キャンペーンの温泉旅行で、次は孤児ブロックと意志について、です。憎しみの連鎖は、すべてを破滅させる、か。

「必ず、ミィーは『ここ』に来るんだ? それはあと、どの程度で来るのさ?」


 俺は今までにない違和感を覚えながら、フィーさんに「時間」を問いました。


「そうですね……。あと十五分、なのです。」

「十五分、か。非常に細かいね? まるで、未来に起きる事柄を、事前に知ることができる驚きの力でもあるの?」

「……。精霊でも、それは難しいのです……。そんなことが確実に実行できる力がわたしにあるのなら、あの神々は小躍りしながら驚異的な待遇で引き抜いてきます。そして、首を縦にふるまで決して諦めません。いえ……、約束事に反するような強制的な拘束をしてでも、奪っていき、わたしが息絶える最後の瞬間まで……決して手放しません。それくらいの、この地に存在してはならない力なのです。」


 それについては、この地に限りませんよ。俺の故郷すら、そんな奴いたら、確実に手放しませんよ! 最強のカードとして最後まで利用尽くす……かな?


「それは、俺のようなアホでも理解できる。未来に起こる事象を語る……預言者みたいなものかな? ではなぜ、ここにミィーが『確実』に来て、それがあと十五分と言い切れるの? まさに『驚異的な力』だよね?」

「……。するどいご指摘、なのです。」

「悪いが、今回は厳しめにいくよ? なぜなら、また、あのおかしな『祈り』なんかに手を出してさ……。例えば『チェックポイント』だっけ? あのような危ないものには、今後、手を出さないでくれないか? あんな光景を見てしまったら、誰だってこうなるよ?」

「……、ディグさん。わたしのことを……、あなたを勝手に呼び出したこんなわたしを……、心配してくださるのですか?」


 そのような当たり前な事を、わざわざ、たずねないでおくれ……。


「そんなのは当たり前だよ! あの『チェックポイント』での出来事から、心配なんだよ。そして、派手に散った俺ごときの召喚で何かの罰を受けるとかさ、一体なんなのさ? 俺がこの地に呼ばれたことについて俺の口から『全く問題ない』と、腹の底から強く叫んでも、フィーさんが罰を受けるのか? そんな罰、どうせなら、ここまで大して役になっていない俺が思う存分、受けてやるよ。」

「……。わたしは『知識』について、都の支配者に真っ向から浴びせられた通りなのかもしれません。完全に、自分を見失っていました。わたしを心配してくださる方々が、こんなすぐ目の前におられたのに、自分勝手な判断で『チェックポイント』にも手を出してしまい……、情けないのです。わたしは、『知識』に溺れたのです。」

「あの都の支配者か。今ごろ、シィーさんからの問いに苦しんでいるのかもね?」

「あの方に、それらを想える良心があるのなら、わたしは、とても嬉しいのです。」


 良心か……。俺には扱えそうにない、難しい概念ですね。


「ところで、『チェックポイント』って、やっぱり、危ないものだったんだね? ちゃんと正直に、話してね。」

「……。おそらく、なのです。まず『守護神』に力を注ぐのですが、想定以上に力を大きく吸われ、少しの間、身体の震えが止まらなくなりました。それから、深い『祈り』を捧げるのです。」

「おそらく、ってなに? ごねてもだめだよ。とんでもないね、それ。今後、『禁止』ね。検証すら、する価値なし。即『禁止』です。」

「そっ、それは……。」

「できないの? もし禁止を破ったら、手のひらに付着していた血の塊の件、シィーさんに話します。」


 今回は、どんな理由があろうとも、絶対に引くわけにはいきません。


「ディグさん……。わかりました。その『禁止』を受け入れるのです。」


 フィーさんが、禁止の件を素直に受け入れました。やはり、姉のシィーさんを前面に出されると弱いですから。大切な場面に限り、「シィーさんに話すぞ」を使います。その代わりに俺は、いつもの他愛ない「フィーさんのあれだこれだ」なら、いくらでも受け入れますから!


「しっかり反省してね。最低限、俺とシィーさんを心配させたのだから、ね?」

「はい、なのです。」

「さて、その反省も踏まえて……、なぜ、先に起こることを事前に察知できるの?」

「興味があるのですね! ディグさんからの積極的なご質問、とてもうれしいのです。これには、そうです、あの『揺らぎ』が絡んできます。」


 ……。俺さ、いま会話の主導権を握っていたよね? しかし、「揺らぎ」という一言で、形勢逆転です……。油断してしまいました! お相手は……シィーさんではなく、フィーさんです!


「そ、そうなんだ。『揺らぎ』ね?」

「はい、なのです。この『揺らぎ』の一部を表現した『精霊の式』と呼ばれるものがあるのです。そこで……。」


 フィーさん……、砂浜で仲むつまじく話す内容ではないよ。えっ? それは違うって?


「フィーさん! 砂浜で『式の話』なんて、そこまで求めていません!」

「……、わかりました。……、そうですね。では、概念だけにしましょう。」

「そうそう! 概念だけでもばっちりです!」

「そうなのですか……? わたしは、それを丸め込むと『古典の式』になる神秘が大切なのですが……?」


 また……式ですか。このような状況における対処には慣れています。大丈夫です。


「そうだね。でも、時間は足りるのかい? ミィーのこと、忘れていないかい?」

「そうでしたね……。概念だけに、するのです。」


 これがフィーさん、です。一つを拒否すると、別の新たなものが……。しかも「古典の式」って、もっと……やばそうです。何とか回避しました。


「それでお願いします!」

「はい、なのです。『揺らぎ』はときに、様々な痕跡を確率的に残していきます。そして、『本流』に乗ることができない痕跡が積み上がってきます。なぜなら、この『本流』は、この地に『ただ一つだけ存在できる』、創造神が課した絶対的な宿命、だからなのです。」

「なるほど……。」


 つまり、揺らぎから痕跡……その痕跡というのは、すなわち、この瞬間の出来事、だよね? それらが確率的に発生して、「本流」に乗れない痕跡が出てくると。なんとなく、理解です。まったく……、こんなものを式にするのが「精霊の業」か。それは一体、どんな形なんだろうか……。


「順調で、なによりなのです。そして、『本流』に乗ることができなかった痕跡も『ブロック』になります。それらブロックは、本流から外れたという意味合いを含めて『孤児ブロック』と呼ぶのです。」

「孤児? それって『本流』が『親』で、そこから外れたという概念からきた割り当てなのかな?」

「はい、なのです。」

「なるほど……。」


 式を並べる前に、普通はこの説明だよね? フィーさん、普通ではないですね。ああ、はい。ただ「孤児」って……。突然出てくるとびっくりというか、きわどい単語を割り当ててきますね……。


「ディグさん、ここからが面白くなるのですよ! 『孤児ブロック』は本来、発生しても自然に消えてしまうので、何事もないように『本流』で、時が流れていきます。しかしです、これら『孤児ブロック』が消えるまでには、そこそこの時間がかかるのです。そして、この孤児ブロックの内容を消える前に察知すると、それらを『夢』として、わたしたちは認識するのです。」


 えっ……、夢? 夢って……、時系列が滅茶苦茶で、場面が突然崩れたりするのにさ、それらをまったく疑問に感じないよね? それが、俺にとっての「夢」の概念かな。それらが、その「孤児ブロック」なの? またまた、びっくりです。


「……、『夢』って、そんな仕組みだったの?」

「はい、なのです。そして、『孤児ブロック』の消滅は、決まった順序ではなく、別の候補が『本流』に乗った瞬間です。そこで、わたしが編み出した方法は、夢の内容から、ひときわ目立つ部分をとにかく集めます。目覚めた直後の『瞬間』が『本流』ですから、夢の内容を統計の手法で分類していきますと、最も候補に近かった『孤児ブロック』を選別でき、さらに『孤児ブロック』の内容を紡いでいくと……、『本流』に似た部分と『衝突』する場合が……『稀』にあるのです。その衝突した場所に『限り』です、未来の事象にも関わらず『必ず起きる』という確実な内容が、衝突部分に、きれいに並んでいるのです。今回わたしは、偶然にも、この砂浜でミィーさんと出会う夢をみていまして、そこが『本流』と衝突していましたので、必ずここに来ると言い切れるのです。ただ、衝突した範囲は非常に小さく、その先は……すぐに場面が切り替わってしまい、よくわからない、ふわふわとした夢の続きとなったのです。」


 ミィーの理屈は理解できました。ただ、衝突したら予知できるって、やばくないか?


「……。それって、結局さ、未来を予知では……。」

「はい、なのです。しかし、ご安心ください。予知可能な条件が狭いのです。『稀』に起こる、『本流』と『最有力だった孤児ブロック』との『衝突』が『必須だから』です。まず衝突しないゆえ、予知としては使えないのです。いわゆる『正夢』程度の話なのです。そして、これをねじ曲げるには『揺らぎ』という根本を自由に操る力が必要です。しかしです、『揺らぎ』を自由に操れるのなら、確定する事象を自由自在にできますから、未来は自分で決められます。すなわち、未来の予知は不要です。完全に矛盾しますね? これが……、未来の予知は不可能という証明、なのです。」

「えっ? ここで、証明なんだ……。ははは。まあ、納得……かな。」

「納得、なのですか? 証明なので、本当はここで……『精霊の式』を使いたいのですが……?」


 フィーさん……。どうしても、その……「式」を出したいのでしょうか。式で証明したいって……、急に「パワーアップ」しておりませんか? フィーさんがごねるのはいつものことなので、慣れてはいますが、それはね……、知識に頼りすぎです。ついさきほど、それに溺れてしまったと深く反省したはずだよ? わかりやすくお願いしたいです!


「いえ、概念だけで、お願いします!」

「はい……、なのです。式を使わないとなると……。そうですね、『孤児ブロック』はもともと『本流』に乗るために生まれたもの、からはじめていくのです。このブロックは、本質は『本流』に乗るブロックと、何も変わりません。『本流』に乗れれば、本流として確定することもできたのです。」

「『本流』に乗って確定すると、俺らがいる『この瞬間』、になるんだよね?」

「はい、なのです。『本流』に乗れるということは、『孤児ブロック』自身も、消滅するまでの短い間ですが、無作為に確定した別のブロックをつなげることができるのです。なぜなら、『本流』に乗ることもできるのですから。」

「えっ?」


 なんか、これは理解が難しくなってきたぞ。概念でこれでは……式なんて……。


「ちょっと、ややこしいのです。しかし、思い出してみてください。この地には『揺らぎ』から確定した様々な事象が『常に』生じているのですから、『孤児ブロック』はレアなものではなく、『この瞬間』にも、無数に発生しているのです。そして、どのブロックが『本流』になるのか、です。」

「それってさ……。実際に起きた物事が、本流に乗れずに『孤児ブロック』になって、消えていく、と読めてしまうよ?」

「はい、なのです。さすがです、ディグさん。『事象が起きてから、消えている』のです。『事象が起こりそうで、消えている』ではないのです。この違い、本当に大切です。」

「起きてから消えるって……。」

「はい、なのです。念押しですが、『孤児ブロック』は『記憶に残りません』ので、『事象が起きてから消えている』という状況を、現実的に認識することはできないのです! 記憶がなく、消えていきますので、表向きは『無かったこと』になるのです。」

「……。」

「ここで、『意志』という概念を理解しましょう。消えた事象は『記憶に残らない』のですから、『この瞬間』に自ら起こした事象というのは、厳密には、存在しないのです。まず『揺らぎ』から、『この瞬間』に発生する無数のブロックに『これから行動したいこと』をまき散らします。そして、そこから選ばれる『この瞬間』の確定なのです。ただ一つの『本流』として確定したそのブロックの刻みを、さながら『自らの意志で起こした』として、脳が現実として受け入れ、認識しているだけなのです。」

「フィーさん……、ちょっと俺には、きついかも。」

「そうですね……、例えです。わたしが、甘味の選択で迷って、確定するとき、なのです。ここで数種類の甘いものが、脳裏に浮かび、それらは『揺らぎ』から『数種類』が確定するのです。そして、わたしはそこから『冷たくて甘いもの』を選び、口に運びました。普通の解釈ならば、自らそれを選んで楽しんでいると『意志』の視点から解釈されるのですが、実際には、その『冷たくて甘いもの』を含むブロックが『本流』として選ばれ、時が流れただけ、なのです。」

「フィーさん……。それ、まじなの?」

「はい、なのです。この『全体の時間を司るブロック』の流れは、当然ながら、この地に存在するあらゆる物質が『共有』する、最も大きな『チェーン』なのです。あの『サブスタンス』は、このあたりの概念から、なのです。そして、この流れを進める『難易度』は、大差をつけて最高の数値です。簡単には、時の流れは変えられないのです。」

「わかったようで、掴めない……。その『本流』を選ぶときの指標が、たしか、その『難易度』だよね?」

「はい、なのです。『本流』となるには、指定された『難易度』を解かなければなりません。この『難易度』が上がるほど、『本流』の選択がより普遍的になるので、この地の創造神は、この『難易度』の方式をご選択されたのかも、しれません。このあたりは……わたしごとき精霊が、安易に手を出せる域ではありませんね。」


 それって……。そのブロックを無理にでも解ければ、自分が想い描く自由な未来を選択できる……? いや、やめておこう。今は、時間がない。


 そうだ! ついでにフィーさんが「精霊」だった件、伺ってみますか!


「そうですよね。……、フィーさんは『精霊』ですよね? 俺なんかでは、これ、手を出す以前のレベルです!」

「ディグさん……。今夜、その件は説明するのです。わたし……『隠し事』はしないのです。案外、たくさんの精霊が存在しているので、こちらも興味深い内容になりますよ。ただ……。」


 おっ、それは助かります。もともと、そのつもりだった……はずです。


「どうしたの? なにかあったの?」

「わたしと親しい仲の『龍』の精霊が、最近、おかしいのです。」

「龍? そんなのもいるのか……。」

「はい、なのです。大きな黒い翼が黒光りして美しいのですが……、こちらは、本件とは関係ないので、わたし自身で解決するのです。ごめんなさい……なのです。唐突に出してしまって……。」

「俺でも、できることなら……。龍が相手では、まず、ないね。そして、元々何もない。とほほ。」


 何の特技もないまま、この地に呼ばれてしまいました。しっかり何か、何でも、役に立つ特技を勉強しておけば良かったと、本気で悔やみます。今更、遅いか……。


 相手は大きな黒い翼を持つ、巨大な龍か。この地は不思議な存在で溢れていますね。そんな龍と俺が対峙したとこで、相手が黒光りした瞬間、俺、その場で終焉です。みっともない、何もできずに迎えるあっけない終わり……、今ここで、情けなくて吹き出しそうです。もっとも、俺の故郷で熱心に体を鍛えていたところで、勝てる相手でも……ないね。ああ、はい。


「前にも話したのですが……、どうしてディグさんは、自分を低く見積もるのですか?」

「フィーさん? もしかしたら、俺みたいなクズを呼び出したこと、悔やんでいませんか? 呼び出してみたら、なにこれ……、とか?」


 この際、思い切って聞いてみました。そして、この返事が「実は……」でも、俺はすべてを受け入れます。それが事実ですから! 悩んでいても仕方がないですから!


「……。なにを悔やむのですか? わたし……、なんて感謝を述べたらよいか……なのですよ?」


 しかし、真逆の回答が返ってきました。少し前に話していた「俺が来てから、うまく回っている」だっけ? あれさ、お世辞ではなく……本当なのか? しかし、俺が何をしたのか、です。そうだ……「スマート何とか」に、なにか秘密がありそうですね。


「お世辞でも嬉しいよ。」

「……、お世辞ではないのです。」

「それなら、『スマートコントラクト』だっけ? これもブロックなの?」

「はい、なのです。それは、契約を司るブロックになるのです。こちらも、この地のありとあらゆる契約を司りますので、『難易度』は非常に高いのです。」

「『全体の時』のブロックよりも高いの?」

「いいえ! なのです。それと比較したら、ものすごく簡単といえます。そもそも『全体の時間』の難易度が『高過ぎる』のです。」

「そうなんだ……。」

「スマートコントラクトについては、魔の者が大きな勘違いを起こしていました。あの神々が積極的にこれを取り入れ、有能な方を次々と取り込んで、テリトリーの戦略を有利に進めていると考えていました。それもそのはず、なのです。自分の『考え』に最も合った方を、スマートに、その場で契約できるからです。しかし、あの神々は、あまりこのようなスマートな仕組みには興味を持たないので、それはないのです……。逆に興味を持つのは、『孤児ブロック』の成り立ちとか、そちらです。」

「最も考えの合う方と契約……なの?」

「はい、なのです。だから、ディグさんはわたしと契約が締結したので、悔いなんかありません。それどころか、涙があふれ出てくるほど、うれしい成果が出ているのです。」

「……。そうなんだ……。」


 まあ、これについては何度も言われているので、もう、そういうことにしておきます。お世辞ではないようなので、きっと、どこかで役に立ったのでしょうから。というかさ、それすら気が付かない俺……、ただのクズですね。ああ、はい。


「はい、なのです!」

「ところで、あの神々なんだけどさ……、『スマートコントラクト』はどうでもよくて、『孤児ブロック』には興味を持つんだ?」


 んっ? 急にフィーさんが辺りを見回しました。ミィーは、まだですよ……。


「はい、なのです。……、周りには誰もいないので、少し踏み込んだ話をします。その興味の件なのですが、実は予算使い放題のプロジェクトなのです。その内容は……『孤児ブロック』の発生と消滅を徹底的に調べ、そこより得られる微小区間から何度でも『精霊の式』に帰納させることを試みる、『民の記憶から消滅させ、無かったことにする』プロジェクト、なのです。常に潤沢な予算が割り当てられ、使い放題で……、あの神々がとてもとても好きそうな研究ですよ。このプロジェクトなのですが、『孤児ブロック』という概要が天……『天の地』で説明された後、なんと……、僅か一分後に、その場で発足しました。このあたりの嗅覚、行動力、そしてブレーンは、すごいのです。」


 なにそれ? 記憶の操作でもするのかね? まったく……です。なんか、慣れてきました。慣れって怖いですね! それよりも「天の地」、そんなのもあるんだ。今夜、それについても詳しく聞いてみます。記号を並べられるより、断然、有意義です!


「……。なんか多いね、そういうの。」

「はい、なのです。わたしは『孤児ブロック』の研究をするのであれば、たとえば……『憎しみ』を『本流』に取り込まないようにするにはどうしたら良いのか、です。」


 フィーさんらしい、研究内容ですね。


「フィーさん? それ、あの神々に提案したでしょ?」

「はい……、なのです。わかりましたか。もちろん、一蹴されたのです。」

「……、だろうね。」

「あれは、酷い光景でした。憎しみの連鎖は、すべてを破滅させるのです。そんな『チェーン』は、この地に必要ありません。すぐにでも、断ち切るべきなのです。」


 えっ……? 酷い光景って、なんだろう。気になっていたところ……、ミィーが、こちらにゆっくりと向かってきました。本当に、来ました……。


「いよいよ、なのです。わたし……、ミィーさんはもちろん、民の方々や、大切な姉様のためにも……、ここで憎しみの『鎖』を断ち切るのです。」


 憎しみ? シィーさんとミィーの間で、やはり……。そして、鎖……「チェーン」か。

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