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267, 今度はなに……? どうして……どうしてこんなにも次々と起こるのよ……。ブラックラベル? 聞き覚えのない言葉。でも……この流れ、嫌な予感しかしない……。

 ほんとにもう……どれだけ面倒ごとが集まってくるのよ。女神であるわたしに届く情報は、いつもろくなことがない。


 ……で、今度はなに……? どうして……どうしてこんなにも次々と起こるのよ……。ブラックラベル? 聞き覚えのない言葉。でも……この流れ、嫌な予感しかしない……。


 ただ、この情報提供者は匿名よ……。でも、そこには、こうはっきりと記されていたわ。


「女神ネゲート様。もし取引の場から出金不能となった場合、多くの方が暴れ出すと存じます。ところが、そのような精霊が、それでもなお、強気で出金不能を放置できる理由があるとすれば……、該当しそうなものをひとつ、見つけました。それが、冒頭で申し上げた『ブラックラベル』の存在です。」


 ……それで、「ブラックラベル」とはいったい何なのか……。その説明に、わたしは言葉を失った。どうやら、それはチェーンとはまったく無関係の外部で構築……。つまり、勝手に非中央のアドレスに対して「ブラック」または「ホワイト」のラベルを付与し、信用度を格付けしている仕組みだというのよ。


 つまり、本来は非中央で自由なアドレスが、知らぬ間に「監視され」「評価され」「切り捨てられる」……、そんな恐ろしい仕組みが、すでに裏で稼働していたというわけね……。


 本来、このような「ブラックラベル」の仕組みは、奪われたアドレス……つまり、強奪などでやられた資産を、換金できないように防ぐために設けられたもの。アドレスに「ブラックなラベル」を貼り、それを検知した時点で即座に口座を凍結し、出金できなくするという仕組み……。つまり……、それが「表の顔」ってことよ。


 一見すれば、有用な活動に思えるわよね? でもね? 問題はそこじゃないの。そもそも、チェーンの外部で勝手に換金性を決める中央なんて……、本来、絶対にあってはならないことよ。実際、この仕組みについては、透明性が確保されていないという厳しい指摘も出ていたわ。


 そして……この仕組みの本当の恐ろしさは、「ブラックラベル」ではなく……、「ホワイトラベル」にあった。


 まず、「ブラックラベル」は一度でも貼られると……、そのアドレスは、どの精霊でも換金できなくなるの。それだけ、「重い処罰」ということよ。しかも、貼るのは一度きりじゃない。何度でも、いくらでも、好きなタイミングで上書きできるって話よ……。


 ……でもね。問題はそこじゃなかったの。本当に驚くべきは、「ホワイトラベル」の方よ。この「ホワイトラベル」が貼られているアドレス……そこに一度でも着金すると、なんと……すべての「ブラックラベル」が解除される。冗談みたいな話だけど、これが映し出された「現実」よ。


 そして……ここからが重要なの。この仕組みは、チェーンの外部で作用している。つまり、送金や受取は拒否されない。ただ、その先にある精霊の「換金判断」だけが操作される。よって、たとえ「ブラックラベル」が貼られたアドレスであっても、「ホワイトラベル」のアドレスへ一度送るだけで、制約は解除される。


 ……そして、最後の問いが、いちばん恐ろしいわ。その「ホワイトラベル」が貼られたアドレス……。いったい誰が、管理しているのかしら?


 ……。


 それで……出金不能の話に戻るわ。このラベルの仕組み、よく考えてみると……? チェーンの外部……つまり「外部の非公式なアルゴリズム」で構成されているわ。ということは……、内部からでも「裏から手を回すことが可能」となる。それで、無作為にブラックラベルを貼らせれば、そのアドレスは換金不能となって、「これは不正対策です」の一言で……すべての出金不能が正当化されてしまう。


 そう……まさにこれが、「出金不能の『口実製造機』」だったってことよ!


 ……こんな仕組み、ただの仮説であってほしい。けれど、あの腐った精霊やそのお仲間の動きを見る限り、それは限りなく黒に近いグレーよ。これなら、出金不能に陥った被害者が声を上げても、「ブラックラベルが付与されたため」と一言で逃げられる。一度でもブラックラベルが貼られた時点で、その資金は事実上……「消えた」も同然。


 第三者の怪しき精霊の判断によって、不審な資金流入を理由に、預け先のアドレスにブラックラベルが貼られていた。そう言い訳されれば、被害者は抗弁すら難しい。


 それでも被害者が食い下がるようなら……「あなたは不正な資金に関与している可能性がある」と一言添えればいい。大抵は、それだけで黙るものよ。


 それで……、おそらく、そのブラックラベル付与は完全なランダムではないわ。額や取引履歴などの「効率的な基準」で、最も効果的に搾取できる対象を選び出しているわね。


 そして……被害者が退会するか、諦めるのを待って……、資金をホワイトラベルの管理下で「洗う」のよね。それには、ホワイトラベルの付いたアドレス、つまりその怪しき精霊の「秘密の鍵」が絶対に必要となるわ。そう、あの腐った精霊やそのお仲間の動きは、ブラックラベルで口座を凍結させ、凍結中は流動線の担保にして、それから……ホワイトラベルで洗浄する。そんな感じで、すべてを操作していた。……これが事実なら、終わっているわ。……。


 でも……、これくらいやらないと、あの「高い利率のステーキング」を維持するのは無理よ。よって……。

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