266, おい……女神。なんのつもりだ、あの精霊。マーケットマニピュレーションの首謀者を効率よく特定するアルゴリズムを構築だと? 俺たちを潰す気か? ……いい加減、どこまで首突っ込む気だってんだよ!
採掘の精霊による問い詰めだけでもう限界だったのに、今度はステーキングの精霊にまで……。わたしは、ぐるぐると囲まれていた。
「おい……女神。なんのつもりだ、あの精霊。マーケットマニピュレーションの首謀者を効率よく特定するアルゴリズムを構築だと? 俺たちを潰す気か? ……いい加減、どこまで首突っ込む気だってんだよ!」
……言葉が出なかった。そのアルゴリズムや、わたしが……悪いの? 最初は、ただ見守っていただけだった。誰かが仕掛けた罠の中で、ただ流されて……。
「おい、女神。わかってるよな? もう逃げられねぇぞ? お前の足かせになってる女神のミーム、有名だぜ? つまり、この界隈に両足突っ込んじまった時点で、もうお前は俺たちの仲間……そういうことだよな、女神様?」
……えっ? 仲間って、なんの話よ? な、なによそれ! 冗談じゃないわ。そんなの、あんまりじゃない……!
……、……。こんな事態に陥ったのは、数日前に「量子アニーリング」の精霊が……信じられないスピードで、また新しい論文を発表したのが発端よ。その概要を見た瞬間、全身が凍りついたわ……。それは「マーケットマニピュレーションの首謀者を効率よく特定するアルゴリズムを構築」……。そんなこと、起きているはずがない……そう思いたかった。
でも、読み進めるごとに確信へと変わっていく。これは、本物だわ。わたし……やっぱり、ゆるいのね。あれだけの兆候があったのに、見て見ぬふりをしていた。……、やっぱり女神失格だわ……。
「女神様……この数日、また出金不能が増えてるみたいですね。慎重に動いてた自分ですら引っかかってしまった。こんなの、納得できるわけないですよ。早く、カネを返してください。」
そんな……。その出金不能分で流動性を確保し、そして……。




