265, 結局、ハッシュによる採掘の脆弱性は、逆像アタックではなく制約付き最小化問題にあった。つまり、どれだけ外側を取り繕っても、本質が破綻しているため、初めから量子によって破られる運命だったなんて。
結局、ハッシュによる採掘の脆弱性は、逆像アタックではなく制約付き最小化問題にあった。つまり、どれだけ外側を取り繕っても、本質が破綻しているため、初めから量子によって破られる運命だったなんて。
そう……、採掘の設計そのものが……初めから間違っていた。そして今、あのハッシュによる採掘の経済圏が揺れている。大精霊まで巻き込んで……。
それで、現時点で収益が合わないって……いったいどれだけの採掘の機材を買い込んだのよ。少しは、回収の見込みとか、慎重に展開していく意識とかはなかったのかしら？ 何も考えずに、少しでも多く採掘できればいい……そんな姿勢が、どれほどのリスクを孕んでいるか、ほんとうにわかってるのかしら？
……それでも、これは本当に「自己責任」で片付けられる問題なの？ 「量子ビット」の猛追が始まって、もう……その対策は完全に間に合わなかった。そんな中で起きたことすら、全部、背負えと？ それって……あまりにも、酷じゃない……？ わたし……どうすればよかったの？ ううん……わたし……。
そうであっても、あのハッシュだけは、変えられない。やっぱり無理よ。無理なの……。無理……。なぜなら、トランザクションですら変えるのに大きな揉め事がコミュニティ内で起きたというのに……あのハッシュによる採掘の経済圏が壊れる「ハッシュの変更提案」や「採掘ロジックの変更提案」なんて、初めから議論すらされないわ。
でも、「量子ビット」はこの先、その量子ビット数が急増していく運命よ。そして……あのハッシュのような、構造が最も簡単な部類に属するものは、真っ先にその「量子ビット」に飲み込まれていく。そう……、絶対に逃れられないわ。そして、最も脆弱な構造……あのハッシュから、簡単に崩れていくのよ。もう……、破られるまで、このまま突っ走ればいいわ。それが、あんたたちの選んだ道なのでしょう……？
ところで、新たに「量子ビット」で参戦してきた「量子アニーリング」の精霊は、採掘の精霊がなぜか不満を述べていたように、最大抽出可能価値によるスキャムの分析に長けている存在でもあるのよ。
つまり、このような精霊の参戦というのは、いよいよ最大抽出可能価値に基づくスキャムの分析結果を大量に放出する前触れでもあるわ。出金不能を何とも感じないあの腐った精霊の動きを見れば、すでに裏では、とんでもない事態が進行していてもおかしくはないのよ……。
だからこそ……、そう。ここで方向を誤れば、それは本当に、取り返しのつかないことになる。それは間違いない。
